窪田 佳代子¹, 尾辻 豊², 仲敷 健一¹, 湯浅 敏典¹, 桑原 栄嗣¹, 河野 美穂子¹, 水上 尚子³, 木佐 貫彰¹, 坂田 隆造⁴, 鄭 忠和¹

Kayoko KUBOTA¹, Yutaka OTSUJI², Kenichi NAKASHIKI¹, Toshinori YUASA¹, Eiji KUWAHARA¹, Mihoko KONO¹, Naoko MIZUKAMI³, Akira KISANUKI¹, Ryuzo SAKATA⁴, Chuwa TEI¹

¹鹿児島大学心臓血管内科, ²産業医科大学第二内科, ³鹿児島大学病院検査部, ⁴京都大学心臓血管外科

¹Cardiovascular Medicine, Kagoshima University, ²The Second Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health, ³Laboratory Medicine, Kagoshima University Hospital, ⁴Cardiovascular Surgery, Kyoto University

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Background:虚血性僧帽弁逆流（MR）ではtetheringにより拡張期にも弁尖開放が制限され，弁輪形成術により弁尖開放はさらに制限され，術後機能性僧帽弁狭窄（MS）となりうる．.今回私達は，虚血性MRに対して，弁輪形成術に加え，左室形成術や腱索切除術，乳頭筋再建術といった弁下部tethering軽減手術を追加することの術後に与える影響について検討した．
Methods: 虚血性MRに対して弁輪形成術のみを行った31例，弁輪形成術に弁下部tethering軽減手術を追加施行した12例において，拡張期僧帽弁口面積（MVA）［MVA×弁流入血流の時間速度積分値＝弁流入血流量＝LVEDV—LVESV］，拡張期弁尖開放角度（α1,α2）を測定した（図）．
Results：僧帽弁輪径（MAA）は術前と比較して術後は減少し，拡張期MVAも術前と比較して術後に減少していた（MAA：7.2±1.0 to 3.3±0.5cm，p＜0.01）（MVA: 3.4±0.8 to 1.7± 0.2 cm2, p＜0.01）．術後の拡張期MVAは，弁輪形成術単独群より弁下部tethering軽減手術の追加群において有意に増大していた（1.8±0.1 cm2 vs. 1.6±0.2 cm2,p＜0.05）．拡張期前尖開放角度（α1）は，弁輪形成術単独群では術後に有意減少したが（α1:67±7 to 60±9, p＜0.05），弁下部tethering軽減手術の追加群では術後に有意に増大した（α1:57±7 to 64±7，p＜0.05）．
Conclusion：虚血性MRに対して弁輪形成術に弁下部tethering軽減手術を追加することで，術後の機能性MSが改善される可能性が示唆された．