英文誌(2004-)
一般口演
循環器:その他1
(S352)
経食道エコーを用いたcomet-tail artifactの観察
Evaluation of comet-tail artifact using transesophageal echography
坪 敏仁
Toshihito TSUBO
弘前大学医学部属病院集中治療部
ICU and Anesthesiology, University of Hirosaki, School of Medicine
キーワード :
経胸壁エコーを用いたcomet-tail artifactがinterstitial syndromeの診断に利用されている.しかし,胸部手術術後患者では十分な画像を得られないことも多い.我々は経食道エコーを用いてcomet-tail artifactを観察し,経胸壁エコーと比較検討したので報告する.またPEEPの影響も検討した.
方法:集中治療部で経胸壁と経食道エコーを同時に用いて呼吸器系評価を行った40名を対象とした.測定装置はHP製SONOS7500,探触子はセクター型3.5MHz,リニア型16MHzまた経食道プローブ5MHzを使用した.経胸壁での測定部位は左右の前・側・後壁とし,経食道では大動脈弓部,下行大動脈部,上大静脈,左心室,右心室周囲とした.胸膜部に生じる多重反射をcomet-tail artifactとした.
患者を胸部手術患者と非胸部手術患者に分けcomet-tail artifact観察数を検討した.PEEPを0,5,10,15cmH20と負荷し,comet-tail artifact数の変化およびまた胸膜コンプレックスの厚さを測定した.統計はカイ二乗検定を用いた.
結果:経食道エコーでは胸部手術患者comet-tail artifact総検出数20回/100回であり,非胸部手術患者comet-tail artifact総検出数は30回/122回と非胸部手術患者で高かった(p<0.01).しかし,経胸壁エコーでは,胸部手術患者comet-tail artifact総検出数は非胸部手術患者comet-tail artifact総検出数より低値であった.
PEEPは経胸壁エコーと経食道エコーともcomet-tail artifact発生数を減少させた.胸膜コンプレックスの厚さは,PEEP0cmH2O時0.9±0.2mmからPEEP15cmH2Oで0.6±0.2mmと減少した.
考察:経食道エコーは解析能が優れ,特に胸部手術後のcomet-tail artifact観察に適していると考えられた.PEEPは胸膜の厚さを減じ,comet-tail artifact数を減少させると思われた.