Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:心機能3

(S349)

頸動脈血圧と血流のリサージュ曲線を用いたベニジピンの坐位循環動態への影響

Effects of Benidipine on orthostatic hemodynamics using simultaneous carotid flow and pressure recordings

島本 博幸, 島本 順子

Hiroyuki SHIMAMOTO, Yoriko SHIMAMOTO

島本内科循環器科・皮フ科循環器科

Cardiology,Shimamoto Heart and Skin Clinic

キーワード :

[目的]
臥位から坐位への起立時循環動態に対するbenidipineの影響を頸動脈血圧,頸動脈血流,特性impedanceから解析検討した.
[対象・方法]
高血圧20例を対象として,臥位および坐位において体血圧,頸動脈圧,頸動脈血流の循環動態を検討した.benidipine投与4-12週間後に同様の測定を繰り返した.頸動脈血流はQFM21を用いてドプラー血流速度にecho-trackingによる血管内径を乗じて算出した.頸動脈血圧はtonometry法からの頸動脈圧波形,Pulse volume recording法からの右上腕血圧波形を用いてoscillometry法から求めた血圧から頸動脈血圧を推定算出した(FORM).坐位では頸動脈血圧が右心房圧から静水圧だけ低下するため,右上腕を頸動脈の高さに挙上して測定した.体血圧は左上腕部cuffを心房位として測定した.心拍毎の血圧と血流からLissajous figureのhysteresis曲線を作製し,特性impedance(Zc)を算出した.頸動脈血流から収縮期血流(S),拡張期血流(D),D/S比を算出した.
[結果]
1)臥位から坐位への体位変換にて頸動脈血圧および血流は低下した.Sは不変,Dは低下,D/Sは低下,Zcは不変であった.
2)benidipineにて頸動脈血圧は低下し,頸動脈血流は変化しなかった.benidpine投与後の体位変換によりSは不変,Dは低下,D/Sは低下しZcは不変であった.
3)benidipine投与後の坐位における循環動態をbenidipine投与前と比較すると,Sは増加,Dは不変,D/Sは低下,Zcは低下した.Zc低下とS増加は相関した.
4)benidipine投与前に臥位から坐位への体位変換でZcが増大しSが減少した症例はbenidipine投与後の体位変換ではZcは増加せずSも減少しなかった.一方,Zcが減少し,Sが増加した症例はbenidipine投与後も同様の変化を示した.
[考察]
ヒトは起立して日常生活を営むため1日の大半を坐位,立位で活動している.しかし多くの循環動態評価は臥位にて行われている.頸動脈循環動態は起立時には,頸動脈圧は静水圧分低下するためZcに影響し,Zcの変化がSに影響したと考えられる.また静脈圧は静水圧分低下してもcollapseして陰圧にはならず動静脈圧較差は減少し,driving pressureの減少がDの減少を導いた.
[結語]
体位変換によりZcが増加しSの低下した症例では,benidipineにより坐位における頸動脈血流が維持されやすい.