Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:心機能1

(S341)

β遮断薬療法が左室収縮能およびディスシンクロニーに及ぼす影響

Beta-blocker therapy improves left ventricular function and dyssynchrony in patients with nonischemic dilated cardiomyopathy

二井 理恵, 伊藤 隆英, 川西 泰徳, 寺崎 文生, 北浦 泰

Rie FUTAI, Takahide ITO, Yasunori KAWANISHI, Fumio TERASAKI, Yasusi KITAURA

大阪医科大学第3内科

the third department of internal medicine, osaka medical college

キーワード :

【目的】
心不全の薬物療法でも心臓再同期が可能とされている.本研究では,左室収縮能を加味した左室ディスシンクロニーの表示法(ヘキサゴン解析)を用い,β遮断薬カルベジロールが本表示法に基づく指標に及ぼす影響について検討した.
【方法】
対象は拡張型心筋症患者19名.平均年齢59±13歳.心基部6点から抽出した組織ドプラ波形の収縮開始からピークまでの時間を「ベクトル」と仮定し,6つのベクトルを共通の起点を中心として各左室壁に対応するよう放射状に表す.このとき,ベクトルの終点を連結してできる6角形の面積(率)は左室収縮能を反映し(大きいほど悪い),6つのベクトルを統合してできるベクトルの方向と長さはそれぞれ収縮遅延部位と遅延時間を示す.各指標をβ遮断薬(カルベジロール)投与前および投与後2−3ヶ月に計測した.
【結果】
投与したカルベジロールは平均7.4mg/日.治療により左室拡張末期径は66±5mmから62±7mm(p<0.01)に減少し,左室駆出率は29±8%から33±9%(p<0.01)増加した.面積率は21±8%から15±8%(p<0.01),統合ベクトル長は107±64 msから70±63 ms(p=0.03)となった.また,治療前には約7割の症例で左室自由壁側に遅延部位が存在していたが,治療後には約4割に減少した.図は代表例である.
【結論】
β遮断薬により左室収縮能のみならずディスシンクロニーも改善する.ヘキサゴン解析はグローバルな左室収縮能とディスシンクロニーの一括表示が可能であり,有用と考える.