Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:心機能1

(S340)

左室拡張障害と大脳白質病変による脳心連関の検討

Cardio-cerebral connection based on diastolic dysfunction and cerebral white matter lesions

舛形 尚, 千田 彰一, 山上 あゆむ, 奥山 浩之, 河野 武章, 樋本 尚志, 合田 文則

Hisashi MASUGATA, Shoichi SENDA, Ayumu YAMAGAMI, Hiroyuki OKUYAMA, Takeaki KOHNO, Takashi HIMOTO, Fuminori GODA

香川大学医学部附属病院総合診療部

Department of Integrated Medicine, Kagawa University Hospital.

キーワード :

本研究では,心エコーによる左室拡張障害と脳MRIによる大脳白質病変の関連性について検討した.高血圧,糖尿病,脂質異常症のいずれかを有する高齢者(年齢:75±7歳)55例に対して心エコーを用いて左室肥大,左室拡張能を評価し,脳MRIにより得られた大脳白質病変の重症度と比較した.対象患者は高血圧患者34例,正常血圧患者21例から成り,明らかな心疾患,心不全,心房細動,脳血管障害の既往のある患者は除外した.心エコーは左室心筋重量係数,左室流入血流速度波形,組織ドプラ法による僧帽弁輪部移動速度を計測した.大脳白質病変の重症度は,脳MRIを日本脳ドック学会の脳ドックのガイドライン2003に従って側脳室周囲病変(PVH)(Grade 0〜IV),深部皮質下白質病変(DSWMH)(Grade 0〜4)を半定量的に評価して,心エコー指標との相関をSpearmanの順位相関を用いて検討した.左室心筋重量係数はPVHやDSWMHの重症度と相関を示さなかった.拡張早期僧帽弁輪移動速度(E’)はPVH (ρ=-0.701, p<0.001) および DSWMH (ρ=-0.532, p<0.001)の重症度と負の相関を示した.多変量解析ではE’ (β coefficient=-0.42, p<0.001)と高血圧の存在(β coefficient=0.31, p=0.001) がPVH重症度の独立規定因子であった.また同様に,E’ (β coefficient=-0.42, p=0.001) と高血圧の存在(β coefficient=0.31, p=0.012) はDSWMH重症度の独立規定因子であった.以上より,拡張早期僧帽弁輪移動速度(E’)で評価される左室拡張障害は,大脳白質病変重症度と相関することが示され,心血管危険因子を有する高齢者において臓器障害の脳心連関を示唆する所見と思われた.