Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:血管(動脈)

(S337)

透析患者の内シャント狭窄に対する超音波ガイド下PTA

Ultrasoud guided angioplasty for the dialysis access stenosis

春口 洋昭1, 土田 智子2, 八木 裕美子3, 小山 綾子3, 飯島 陽子3

Hiroaki HARUGUCHI1, Tomoko TSUCHIDA2, Yumiko YAGI3, Ayako KOYAMA3, Yoko IIJIMA3

1飯田橋春口クリニック院長, 2飯田橋春口クリニック臨床検査部, 3飯田橋春口クリニック看護部

1Director, Haruguchi Vascular Access Clinic, 2Clinical Laboratory Technician, Haruguchi Vascular Access Clinic, 3Nursing Office,Haruguchi Vascular Access Clinic

キーワード :

【目的】
透析患者の内シャントの狭窄に対しては,従来,血管造影で狭窄部を確認し,X線透視化でガイドワイヤーの通過とバルーン拡張,ステント留置を行ってきた.造影剤アレルギー症例に対しては,超音波ガイド下にてPTAを施行していたが,ガイドワイヤーの通過,バルーン拡張は超音波により良好に確認できた.そこで,2008年9月より本格的に超音波ガイド下のPTAを開始した.
【方法】
2008年12月までの4ヶ月間で170例(自己血管内シャント152例,人工血管内シャント18例)に対して超音波ガイド下PTA(ultrasound guided PTA (USG-PTA))を施行した.使用した機器は東芝メディカル社のXarioで,12MHzのリニア型のプローブを使用した.プローブは滅菌したビニールの袋に入れて走査した.術者はガイドワイヤーとPTAバルーンカテーテルを操作し,助手(検査技師または医師)がプローブを走査する2人方にて行った.血管穿刺困難な症例は超音波ガイド下で穿刺し,シースを挿入する際のガイドワイヤーも超音波にて確認した.
【結果】
0.014インチから0.035インチまでのサイズのガイドワイヤーを使用したが,いずれも超音波にて良好に確認できた.特に高度狭窄や静脈弁を逆行性に通過させる場合はガイドワイヤーを直接狭窄部に誘導することが可能であった.人工血管内シャントは全例ガイドワイヤーの通過が可能であったが,自己血管内シャント6例では,狭窄部にガイドワイヤーを通過させることができずPTAは断念した.ガイドワイヤー通過が可能であった症例はすべて4-8mmのバルーンでのPTAを施行しえた.バルーンの先端マーカーは超音波にて確認でき,実際拡張すべき狭窄部のみを拡張した.エラスティックリコイルを呈した症例ではバルーンのデフレーション後すぐに再拡張をすることが可能であった.2例は超音波ガイド下にステントを留置した.PTA後ただちに血流量を測定することも可能であり,血流量の増加が十分でない患者では,他の狭窄病変をチェックし,PTAを追加した.
【考察・結論】
PTA前に,視診・触診・聴診での診断と,超音波検査を十分に行い,狭窄部を同定しておくことで,PTA前の血管造影はほとんど必要なかった.ガイドワイヤー通過のテクニックには改善の余地があるが,実際に血管を観察しながら操作できるといった利点がある.USG-PTAは造影剤の副作用の回避と,無被爆といった利点を有し,かつ大掛かりなX線透視装置も必要ない.現在のところ適応は限られているが,今後ベッドサイドで普及する可能性を秘めていると考えられた.