Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:血管(内膜)

(S334)

血管内皮機能におよぼす食事と検査時刻の影響に関する検討

Effect of meal and time of examination on the endothelial function — evaluation with ultrasound —

山下 都1, 畠 二郎2, 中武 恵子1, 竹之内 陽子1, 谷口 真由美1, 小島 健次1, 眞部 紀明2, 今村 祐志3, 蓮尾 英明4

Miyako YAMASHITA1, Jiro HATA2, Keiko NAKATAKE1, Yoko TAKENOUCHI1, Mayumi TANIGUCHI1, Kenji KOJIMA1, Noriaki MANABE2, Hiroshi IMAMURA3, Hideaki HASUO4

1川崎医科大学附属病院中央検査部, 2川崎医科大学検査診断学, 3川崎医科大学内科学, 4川崎医科大学総合臨床医学

1Clinical Laboratory, Kawasaki Medical School Hospital, 2Clinical pathology and Laboratory Medicine,Kawasaki Medical School, 3Internal Medicine, Kawasaki Medical School, 4General Medicine,Kawasaki Medical School

キーワード :

【背景と目的】
超音波を用いた血流依存性血管拡張反応(以下FMD)による血管内皮機能検査は一般的に朝絶食下で行なわれているが,朝食後昼食前でのルーチン化が可能か否かを評価するための前段階としてまず食事の影響について検討を行い,食後1時間では%FMD(安静時血管径に対する駆血解除後血管径の増加率)が著明に低下することを第81回日本超音波医学会学術集会で報告した.今回,一定の負荷食がFMDにおよぼす影響および絶食下における日内変動に関して検討を行った.
【対象】
動脈硬化に関する基礎疾患を持たないボランティア:食事負荷群17名(男性3名,女性14名,年齢20〜25歳,平均20.9±1.3歳,平均BMI 19.9±2.2),絶食群16名(男性2名,女性14名,年齢20〜21歳,平均20.6±0.5歳,平均BMI 20.4±2.3)
【方法】
朝絶食下,午前8時に安静仰臥位にて右上腕動脈の血管径(拡張末期)を装置内臓ハードに記録保存後,右前腕を血圧計マンシェットで200mmHgに加圧して5分間駆血し,駆血解除30秒,50秒,60秒後の血管径(拡張末期)を記録保存した.保存画面からFMD計測ソフト(FMD scope,Media Cross Co. Ltd,Japan)を用いて%FMDを求めた.食事負荷群は測定後負荷食(バナナロールとカフェオーレ:総熱量469kcal,蛋白質9.0g,脂質14.5g,炭水化物75.5g)を10分以内で摂取,絶食群はさらに絶食を継続し午後12時に同様に%FMDを求め,食事および検査時刻による影響を評価した.また食事負荷群では午前8時と午後12時の%FMD測定後に血糖およびトリグリセライド(TG)の測定を行い,%FMDとこれらの変動を比較した.使用装置は東芝SSA-770A Aplio,プローブは7MHzリニアである.有意差検定にはMann-Whitney検定を用いた.
【結果】
午前8時および午後12時の%FMD(中央値;25%−75%値)は,絶食群では9.30%;7.04%−10.49%,および11.31%;10.11%−13.51%,食事負荷群では8.95%;5.79%−11.31%,および9.70%;8.49%−12.77%,であった.検査時刻別の検討では,絶食群において午前8時に比較して午後12時の%FMDが有意に上昇(P<0.01)していたが,食事負荷群では明らかな上昇は認めなかった.次に絶食群と食事負荷食群を比較すると,午前8時の%FMDには2群間に有意差は認めず,また午後12時の%FMDでは食事負荷群がやや低値を示したが有意な差は認めなかった.また食事の影響のパラメータとして測定した血糖とTGの変動では,負荷食摂取後4時間では血糖値は摂取前値に復していた(負荷食前平均値90.1mg/dl,4時間後平均値89.5mg/dl)がTGは有意に上昇(58.9mg/dl,81.1mg/dl P<0.05)していた.
【結語】
 %FMDは朝よりも午後高い傾向が認められた.また今回の負荷食では,負荷食前と負荷4時間後における%FMD値には大きな差はみられないことから,午後からのルーチン化への可能性が示唆された.今後,食事内容による影響などを検討する必要があると考えられた.