Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:虚血

(S332)

2Dスペックルトラッキングによる左室ストレインの自動解析を用いた心筋虚血の診断

Automated Analysis of Left Ventricular Strain Based on Two-Dimensional Speckle Tracking Identifies Myocardial Ischemia

加藤 浩司1, 菅原 由夏1, 熊本 輝彦1, 加藤 亜希2, 齊藤 泰子2, 阿部 文子2, 角谷 知亜紀2, 山本 誠3

Hiroshi KATO1, Yuka SUGAWARA1, Teruhiko KUMAMOTO1, Aki KATO2, Yasuko SAITO2, Fumiko ABE2, Chiaki KADOYA2, Makoto YAMAMOTO3

1福井厚生病院循環器センター, 2福井厚生病院検査課, 3福井厚生病院内科

1Cardiovascular Center, Fukui Kosei Hospital, 2Department of Laboratory, Fukui Kosei Hospital, 3Department of Internal Medicine,Fukui Kosei Hospital

キーワード :

【目的】
2Dスペックルトラッキングによる左室心筋ストレインを用いて,心筋虚血の評価を試みた.
【対象】
胸部症状の精査のためジピリダモール負荷心エコーを施行した連続24例(平均年齢64.8±12.3歳).
【方法】
ジピリダモール負荷(0.84mg/kg)の前後で,心エコー(Vivid 7, GE社)を施行した.左室心尖部3方向のCine-loopから,EchoPAC (GE社)を用いて,2Dスペックルトラッキングによる左室心筋ストレイン(長軸方向)を計測し,左室心筋の17分画における局所の収縮期ストレインの最大値を自動的に心基部から心尖部にかけて同心円状にカラー表示した(AFI, Automatic Function Imaging;図).負荷直後の各分画の収縮期ストレインから,負荷前の値を引いたものをストレイン変化率と定義した.全症例に冠動脈造影を施行し,有意狭窄のある群(A群;労作性狭心症,13例)と狭窄のない群(B群;対照群,11例)の2群に分けて,ストレイン変化率を比較した.
【結果】
収縮期ストレインの左室17分画全体での平均値は,ジピリダモール負荷直後に両群とも改善した(A群;負荷前 -19.2±2.9% vs 負荷後 -21.5±2.9%,p<0.01:B群;負荷前 -17.2±3.2% vs 負荷後 -20.2±2.5%, p<0.001).しかし,左室17分画においてジピリダモール負荷による反応が最も不良であった個々の分画に着目すると,ストレイン変化率は,A群がB群よりも不良であった(A群+8.62±8.62% vs B群+3.18±1.99%,p<0.05).A群の12例(92%)において少なくとも一つ以上の分画で,収縮期ストレインは+4%以上の悪化を認めた.一方,これとは対照的に,B群で収縮期ストレインが+4%以上の悪化を示したのは4例(36%)のみであった.ストレイン変化率のカットオフ値を+4%とすると,ジピリダモール負荷を用いた左室心筋ストレイン解析が,冠動脈の有意狭窄を検出する感度は92%,特異度は64%,陽性正診率は75%,陰性正診率は88%であった.
【結論】
2Dスペックルトラッキングによる左室心筋ストレインの自動解析表示法(AFI)は,非侵襲的に心筋虚血を検出するのに有用である.