英文誌(2004-)
一般口演
循環器:虚血
(S330)
経皮的冠動脈形成術後のpost-systolic shorteningの変化
Changing of Post-systolic Shortening after Percutaneous Coronary Intervention in Patients with Coronary Artery Disease
大西 俊成, 上松 正朗, 南都 伸介, 渡部 徹也, 田中 宣暁, 永田 正毅
Toshinari ONISHI, Masaaki UEMATSU, Shinsuke NANTO, Tetsuya WATANABE, Nobuaki TANAKA, Seiki NAGATA
関西労災病院 循環器科
Cardiovascular Division, Kanasai Rosai Hospital
キーワード :
【背景・目的】
高度の心筋虚血によりpost-systolic shortening (PSS)が生じることが知られている.我々は,カラー組織ドプラ法(TDI)を用いてPSSを断層心エコー図上に表示する方法(Detection of Diastolic Abnormality by Dyssynchrony Imaging: DADI)を考案し,安静時PSSが狭心症の診断に有用であることを提唱してきた.しかしながら,冠動脈インターベンション(PCI)術後のPSSの変化については明らかではない.本研究ではDADIを用いて狭心症患者におけるPCI術後のPSSの変化を評価した.
【方法】
対象は,DADIを用いてPCI術前にPSSが確認されPCI術1年後の冠動脈造影にて再狭窄がないと確認された狭心症患者13例(男性9例,年齢:49-78歳).超音波診断装置は東芝社製Aplioを用い,TDIによるDisplacementのピーク時相のずれにより正常 (緑色) から遅延(赤色)までを表示した(DADI).DADIを用いて冠動脈支配領域に一致して心筋のセグメントが赤色表示されるものを陽性とした.狭心症は,冠動脈造影上AHA分類にて90%以上の高度狭窄を認めたものと定義した.
【結果】
PCI術1年後に,5症例(38%)で局所左室心筋が緑色に表示され,PSSが軽減したのに比し,8症例(62%)では赤色表示され,PSSが残存したままであった.
【結論】
PCI術前に観察されたPSSはPCI術1年後にも残存している症例があり,狭心症患者において安静時にPSSが生じる原因は心筋虚血だけではないことが示唆された.