Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:血管(静脈)

(S326)

下腿部静脈血栓の急性期及び遠隔期の超音波像に関する検討

Morphologic changes of deep vein thrombosis in peripheral lower extremities after medical treatment

岡原 千鶴1, 松村 誠2, 数野 直美1, 三村 優子1, 山本 哲也1, 三原 千博1, 諸貫 孝久3, 釜津田 洋子3, 山田 朝子3

Chizuru OKAHARA1, Makoto MATSUMURA2, Naomi KAZUNO1, Yuuko MIMURA1, Tetsuya YAMAMOTO1, Chihiro MIHARA1, Takahisa MORONUKI3, Youko KAMATSUDA3, Tomoko YAMADA3

1埼玉医科大学国際医療センター中央検査部, 2埼玉医科大学国際医療センター心臓内科, 3埼玉医科大学病院中央検査部

1Clinical Laboratory,Saitama Medical University International Medical Center, Saitama, Japan, 2Cardiology Department,Saitama Medical University International Medical Center, Saitama, Japan, 3Clinical Laboratory,Saitama Medical University Hospital,Saitama,Japan

キーワード :

【はじめに】
下肢静脈血栓例の予後に関する報告は多く,一般に下腿部の静脈血栓は腸骨・大腿部の静脈血栓に比して予後は良好である.しかし,実際に“静脈血栓がどのような経過をたどるのか”,あるいは治療後“どのくらいで血流が再開するのか”ということについては十分に検討されていない.本研究の目的は末梢性下腿部静脈血栓例(深部静脈あるいは筋肉内静脈)における治療後の血栓像の変化について検討することである.
【方法】
対象は下肢静脈エコー検査で下腿部静脈血栓と診断され,治療後複数回の検査を行い,静脈血栓の消失あるいは残存を確認することができた43例.女性29例,男性14例.平均年齢は61±17歳(19〜89歳).診療科別では内科系31例,外科系4例,整形外科・婦人科8例であった.また,肺塞栓症の合併は15例,35%に認められた.静脈血栓の診断は超音波医学会の標準的診断法に基づき,直接所見(血栓エコーと内腔の非圧縮所見)で行った.
【結果】
初回のエコー検査では,下腿三分枝の深部静脈に6例(14%),筋肉枝(ひらめ静脈など)に26例(60%),両血管に11例(26%)の静脈血栓を認めた.急性期,完全閉塞は30例(70%)であった.薬物治療により29例(67%)で血栓の完全消失を確認した.平均消失期間は14±19週(1〜80週),2週間以内の消失率は21%(9例),4週間以内が30%(13例)であった.部位別では血栓の残存率は三分枝よりひらめ静脈(24% vs 39%)で高い傾向を示した.
【結語】
下腿部静脈血栓は治療後比較的早期に消失するが,筋肉枝では三分枝の静脈より残存する可能性が高い.