英文誌(2004-)
一般口演
基礎:弾性計測
(S318)
横方向余弦変調におけるアポダイゼーション
Apodization for lateral cosine modulation
炭 親良, 小宮 勇一, 宇賀 真也
Chikayoshi SUMI, Yuuichi KOMIYA, Shinya UGA
上智大学理工学部情報理工学科
Information and Communication Sciences,Sophia University
キーワード :
我々は,イメージング,血流や組織変位ベクトル計測,HIFU治療などのための最良のビームフォーマの実現に取り組んでいる[例えば,1].超音波ビームフォーミングのパラメータとしては,超音波周波数,帯域,有効開口幅,アポダイゼーション,エネルギー効率,また,素子サイズ,素子形状や材料などが揚げられるが,我々は,所望する点拡がり関数(PSF)を決めた上で,これを実現するパラメータを最適化理論に基づいて求めることを行っている.
応用例として,エコーイメージングや変位ベクトル計測を行うための横方向余弦変調[1,2]を行う場合のアポダイゼーションを決定する際に最小二乗法を用いた結果を報告している[1].その際には正則化が有効である.また,最良のPSFの探索(設計)も行っている.信号の強度が等しい条件の下では,ガウス関数,Hanning窓,二乗関数を包絡線にもつPSFを比較すると,順に裾が長く半値幅が狭いという特徴を持ち,実現できる帯域幅を比較すると,後者の方が広帯域のエコーを生成でき且つ精度の高い変位ベクトル計測が可能である.その点,さらに高次の冪関数やTurkey窓の様に中央が直流である関数が有効であるが,無論,裾が短くて半値幅が広すぎると包絡形状は方形窓に近づき,計測精度は低下することになる.
この様に最良のPSFの探索を行っている中,包絡線がその様なPSFを精度よく実現するべく,アポダイゼーション関数の裾を切除する非線形の最適化法を開発した.有効なPSFとして確認されたものと共に該最適化法の有効性をシミュレーションおよびファントム実験を通じて確認した結果を報告する.Fraunhofer近似や線形の最適化を行った場合に比べて良い近似結果が得られた.Fig.1は,二乗関数の場合の結果である.尚,この横方向余弦変調を行う際には,いわゆるvirtual sourceを使用することも行っており,例えば,物理的に十分な開口長が無い場合にその物理開口端の両側にさらに長く音源が並んでいたものと仮想的に考えることや開口形状にとらわれることなくイメージングする,また,トランスデューサの内部に積極的にランダムな散乱体媒体を用いることなどにも取り組んでいる.
[1]2007 IEEE Int Ultrason symp, pp. 1557-1562. [2] IEEE Trans UFFC, 55, pp. 2607-2625, 2008.