Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:心臓・血管・血流

(S311)

集束超音波による心房中隔欠損孔の作成

Atrial Septal Defect Creation Using HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)

石井 徹子1, 2, 勝池 康允1, 北角 権太郎1, 金 季利1, 千葉 敏雄1, 中西 敏雄2, 堀田 紗代3, 東 隆4, 望月 剛5

Tetsuko ISHII1, 2, Yasumasa KATUIKE1, Gontarou KITAZUMI1, Keri KIM1, Toshio CHIBA1, Toshio NAKANISHI2, Sayo HOTTA3, Takashi AZUMA4, Takashi MOCHIZUKI5

1国立成育医療センター臨床開発研究部, 2東京女子医科大学病院循環器小児科, 3昭和大学医学部小児外科, 4日立製作所中央研究所, 5アロカ株式会社アロカ研究所

1Clinical research and development, National Center for Child Health and Development, 2Pediatric Cardiology, Tokyo Women’s Medical University Hospital., 3Pediatric Surgery, Showa University Hospital, 4Central Research Laboratory, Hitachi, Ltd., 5Aloka Research Laborator, R&D Division, Aloka Co.

キーワード :

背景 左心低形成症候群は心房間交通が生命維持に不可欠な疾患である.しかし胎児期症例の6%では心房間交通が十分ではなく,出生後致死的病態を呈する.現在,バルーン付カテーテルを用いた超音波ガイド下心臓穿刺による胎内治療の報告があるものの,胎児・母体ともに侵襲性が高い.
目的 集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound:HIFU)を用いた低侵襲の心房中隔欠損孔作成術の検討
方法 脱気水を満たした水槽内に,動物(ブタ,ウサギ)の摘出心房中隔を固定し,HIFUを照射.さまざまな条件下での欠損孔作成の成否,孔作成までのHIFU照射回数につき検討を行った.HIFU照射時間・照射エネルギー,水温,水槽内水流の有無,心房中隔厚を下記の条件(①〜⑥)で変化させ,各々5回のHIFU照射を行った(中隔の壁厚変化のために,成熟ブタと2.0kg体重のウサギを用いた).
結果  条件①,②,④〜⑥では欠損孔作成が可能であったが,条件③では100回の照射にても欠損孔は得られなかった.条件①では平均27回の照射が必要であった.条件②で照射エネルギーを減じたところ,平均53回の照射が必要となり,有意に増加した.条件③,④で水温,水流を変化させたが,条件①に比較し孔作成までの照射回数に有意差はなかった.条件⑥では,摘出心房中隔厚(ウサギ)がブタの約半分となり,欠損孔作成までの照射回数(平均5回)が有意に減少した.開胸により露出したウサギ拍動心に対してもHIFU照射実験を行なったが,欠損孔はin vitroと同じ条件では必ずしも作成しえなかった
結語 HIFUによるin vitroでの心房中隔欠損孔作成は可能であった.照射条件や被照射組織の違いにより,欠損孔作成の可否に差異がみられた.今後はin vivo拍動心に応用できるように,さらに照射条件を最適化していく必要がある.