岡田 孝¹, 関 佳徳², 原田 烈光¹, 大槻 茂雄³, 田中 元直⁴

Takashi OKADA¹, Yoshinori SEKI², Akimitsu HARADA¹, Shigeo OHTSUKI³, Motonao TANAKA⁴

¹アロカ株式会社研究所, ²アロカ株式会社MS技術部, ³医用超音波技術研究所研究所, ⁴東北厚生年金病院循環器センター

¹Research Laboratory, Aloka Co., Ltd., ²Medical System Engineering Department, Aloka Co., Ltd., ³Research Laboratory, Institute of Medical Ultrasound Technology, ⁴Department of Cardiology, Tohoku Employee’s Pension Welfare Hospital

キーワード :

【はじめに】
Vector Flow Mapping（VFM）は，Echo-Dynamography ^[1],[2]の技術を基に，カラードプラの血流速度分布から血流速度ベクトル分布を表示する新しい心機能計測法である． カラードプラ法では観測面内の速度ベクトルのビーム方向成分のみを表示しているため，実際の血流がどの方向に流れているかを把握することが困難であった．一方，VFMでは超音波ビーム方向と直交する方向の速度成分を推定し，血流速度をベクトル表示するため，実際の血流の動きが把握しやすくなる．
これまでにランキン渦や層流を模擬した流れによる精度評価^[3],[4]について報告した．今回，流れのシミュレータで生成した現実に近い流れの速度ベクトルとVFMで求めた速度ベクトルとの比較結果を報告する．
【方法】
3次元空間の流れをシミュレータ（CHAM社製PHOENICS）で作成した．この3次元の流れから求めた任意断面の2次元速度ベクトル分布と，この断面の超音波ビーム方向の速度成分からカラードプラの速度分布とを作成する．このカラードプラ情報からVFMで速度ベクトル分布を求めた．この速度ベクトル分布とシミュレータの速度ベクトル分布とを比較評価した．図1に比較方法の処理の流れを示す．
【結果】
図2にシミュレータで生成した速度ベクトルと，VFMで求めた速度ベクトル表示例を示す．VFMとシミュレータの両者の速度ベクトルは非常に良く相関しており，ベクトルの絶対値の差の標準偏差は約1cm/s，ベクトルの方向の差の標準偏差は約10度であった．
【まとめ】
VFMはモデル流の速度ベクトル分布を精度良く表示できた．現在，臨床的な有用性について評価中である．
【文献】
　[1]田中元直他:循環器専門医,12,2 (2004)363-374.
　[2]S Ohtsuki, et al:J. of Visualization,Vol.9No.1　(2006), 69-82．
　[3]園山輝幸他:J. of Med. Ultrasonic,Vol32(2005)
　　S279
　[4]岡田孝他:J. of Med. Ultrasonic,Vol34(2007)
　　S327