Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:心臓・血管・血流

(S309)

超音波FMCWドプラ計測システムの実験的検討

Experimental Study of Ultrasound FMCW Doppler Measurement System

井上 真也, 須藤 政光, 国田 正徳, 赤羽 睦弘, 望月 剛

Shinya INOUE, Masamitsu SUDO, Masanori KUNITA, Mutsuhiro AKAHANE, Takashi MOCHIZUKI

アロカ株式会社研究所

Research Laboratory,Aloka Co., Ltd.

キーワード :

【はじめに】
FMCW超音波ドプラ計測システムは尖頭値電力が小さく,クラッタ相対電力の低減が可能である[1].また,本システムでは特定の距離からのドプラ信号を,CWドプラと同等の感度で選択的に測定することができる.本報告では,実験装置を用いて,位置選択特性とドプラ偏移周波数を測定した結果について報告する.
【ドプラ計測の原理】
本システムでは,正弦波で周波数変調した連続超音波を送信波および参照波として用いる.基本構成をFig.1に示す.送信波を目標までの距離に相当する伝播時間だけ遅延させた信号を参照波とし,これと受信波とを直交検波して両者の相関をとる.この相関値は,両者の位相(φR, φref)が一致したときに最大になるという性質を利用し,特定の位置におけるドプラ信号を検出する.また,サンプルゲート幅は変調度β(周波数偏移/変調周波数:Δf/fm)により設定できるという特長がある.
【方法および結果】
まず,超音波による多重反射や回折,探触子の帯域制限の影響を除去するため,電気回路による実験を行った.受信波に対する参照波の位相を変化させ,検波回路(Mixer)の出力電力を測定した(Fig.2).この実験により,目標の距離における電力が選択的に検出できることを確認した.また,サンプルゲート幅は変調度βにより可変できることを確認した.
次に,水中を一定の速度で移動する糸ファントムを目標として,ドプラ偏移周波数を測定した.ドプラ偏移周波数は糸の移動速度と比例関係にあり,理論値とも良く一致した(Fig.3).
【まとめ】
本方式の位置選択特性およびドプラ偏移周波数の検出について,実験による検証を行った.いずれの結果も理論値と良く一致しており,ドプラ計測法として本方式の可能性を見出すことができた.
【参考文献】
[1]国田,野田:超音波FMCWドップラー計測システムによるクラッタ低減効果,信学誌,Vol.J87-A, No.10, Oct. 2004.