Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:エネルギー・治療

(S305)

模擬血管内での音場形成による流路内マイクロカプセルの誘導効率の検討

Study for induction efficiency of fluid microcapsules by local acoustic radiation field in artificial blood vessel

桝田 晃司, 中屋敷 悠介, 中元 隆介, 上田 沢美, 村松 悠佑

Kohji MASUDA, Yusuke NAKAYASHIKI, Ryusuke NAKAMOTO, Sawami UEDA, Yusuke MURAMATSU

東京農工大学大学院生物システム応用科学府

Graduate School of Bio-Applications and Systems Engineering, Tokyo Univ A&T

キーワード :

【はじめに】
 我々はこれまで,超音波とマイクロカプセルを用いたDDSを目指し,単純な分岐部を持つ模擬血管においてマイクロカプセルの能動的流路選択法に関する研究を進めてきた[1,2].局所的な音響放射力形成により,下流領域に流れるカプセル量をコントロールできることを示してきた.今回は複雑な形状の模擬血管を用い,流路内に局所的に形成した様々な音場の条件に対する,カプセルの誘導精度の検証を行った.
【方法】
 模擬血管として,(1)超音波透過性に優れるプラスチックを成形した多段分岐流路と,(2)アクリルブロックを使用して平均内径1mm程度で複雑な分岐を有する円筒状の流路の2種類を作成した.模擬血管はそれぞれ,一つの流入路に対して二つの流出路を有し,その内部の任意の箇所に複数個の超音波トランスデューサを用いて様々な音場を形成した.そして直径数十ミクロンに分別されたマイクロカプセルの懸濁液を模擬血管に流し,超音波の音圧・流路内の流速・カプセルサイズ等のパラメータを変化させ,流出路におけるカプセルの誘導効率を計測した.またカプセルに与える作用力と水流より受ける抗力の関係をシミュレーションにより算出し,実験結果と比較した.
【結果とまとめ】
 アクリルブロックを含んだ円筒形の流路を用いた実験の構成を図に示す.流速を100mm/s,超音波の音圧を160kPaにしてカプセルの進行方向に対して垂直な方向に周波数1MHzの正弦波で集束音場を形成すると,二つの流出路において明確なカプセルの分別が確認された.また流速を一定とし音圧を160kPaより下げていくと,流出部におけるカプセルの濃度差は減少し,音圧110kPa程度では濃度差は観察されなかった.この結果は音響放射力と流体の抗力とのつり合いを考慮したシミュレーションによる結果とほぼ一致した.今後はより生体内の環境に近づけた実験条件にて同様の検証を行う.
【参考文献】
[1]村松ほか,第29回超音波シンポジウム講演論文集, pp.291-292, 2008
[2]Y.Muramatsu, et al, Proc. of 4th European Medical & Biological Engineering Conference (EMBEC’08), pp.1589-1593, 2008