Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:マイクロバブル

(S303)

造影エコーにおける組織信号の抑制に関する検討

Study on suppression of tissue signal in ultrasound contrast imaging.

吉田 哲也, 吉新 寛樹, 今村 智久, 佐藤 武史, 神山 直久

Tetsuya YOSHIDA, Hiroki YOSHIARA, Tomohisa IMAMURA, Takeshi SATO, Naohisa KAMIYAMA

東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波開発部

Apprication&Research Group, Ultrasound Division, Toshiba Medical systems Corp.

キーワード :

【はじめに】
超音波造影イメージングにおいて,マイクロバブルと組織の弁別は重要である.通常のマイクロバブルの映像化には2次高調波成分を利用しているが,組織構造からも2次高調波が発生する為,正確な染影評価が出来ない問題がある.特に送信音圧が高いほどその問題は顕著となる.今回我々は,造影画像における組織エコーの抑制に関しての基礎検討を行ったので報告する.
【方法】
寒天グラファイトファントム内の空隙に水を満たし造影剤SonazoidRを滴入し,1方向に位相が180°シフトした2パルスを送受信する.片方の受信信号から基本波成分Sfを抽出し,両方の受信信号を加算することで2次高調波成分S2を抽出する.その後,包絡線検波後に,以下の計算式による2種類のB-mode画像を生成した:(a) logS2-logSf+α, (b) logS2-logSf2+β.このような基本波成分による規格化により,組織信号成分の均一的な平滑化が期待できる,なおここで係数α,βは適当なゲインレベルである.
 超音波診断装置はAplioXGTM (SSA-790A),探触子は凸型プローブ(3MHz)を使用.解析は取得したRF信号をPCに転送後に行った.なお送信周波数は1.8MHz,音圧はMI:0.1〜0.2とした.
【結果とまとめ】
2次高調波成分S2を映像化する従来方式に対して,バブル領域とファントム領域の信号強度比が手法(a)では約6dB程度向上した.さらに手法(a),(b)ともにバブルによる染影が近距離から遠距離に亘り均一化され,かつファントム領域の信号も空間的に平滑化されるのを確認できた.このように本手法は,減衰の影響などによる組織エコーの不均一さを軽減できる可能性がある.またバブル濃度分布をより反映することから,定量性の向上も期待できる.