Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:画像2

(S301)

三次元高周波数超音波イメージングによる皮膚組織の微細構造の観察

Observation of microscopic structures of skin by three-dimensional high frequency ultrasound imaging

西條 芳文1, 小林 和人2, 田中 明3, 穂積 直裕4

Yoshifumi Saijo1, Kazuto Kobayashi2, Akira Tanaka3, Naohiro Hozumi4

1東北大学大学院医工学研究科・医用イメージング研究分野, 2本多電子株式会社メディカル事業部, 3福島大学共生システム理工学類, 4愛知工業大学電気工学科

1Biomedical Imaging Laboratory, Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Medical Division, Honda Electronics Co. Ltd., 3Faculty of Simbiotic Systems Science, Fukushima University, 4Department of Electrical Engineering, Aichi Institute of Technology

キーワード :

【目的】
皮膚組織の再生医療は,火傷などで皮膚が大きく欠損した場合の治療法として認可されたが,現状では生体と同様の形態および機能を保持しておらず,しなやかで皮膚附属器も備えた人工皮膚の開発が行われている.このような組織を作製する際には,組織の形態や機械的特性などについての経時的な評価が重要である.超音波イメージングは,安全性およびポータビリティーに優れており,製造工程での全数検査および移植後の生着の評価に同一デバイスを用いることができるので,十分な解像度を併せ持つことにより再生医療において最も期待されるモダリティーとなり得る.本研究では,三次元構造を有する皮膚組織の微細構造評価の目的で,三次元高周波数超音波イメージング装置を開発し,生体皮膚組織を観察したので報告する.
【方法】
周波数100MHz,開口2.4mm,焦点距離3.2mmのPVDF超音波トランスデューサを,2個の直交したリニアモータを用いて二次元高速スキャンした.トランスデューサと皮膚の間には通常の超音波用ゲルをカプラとして用い,組織の表面および内部の反射情報をサンプリングレート2GHzの高速デジタイザカードにより収集した.連続Bモード画像は最小8ミクロンステップで収集可能で,得られた連続画像を三次元再構築することで,三次元超音波画像を得た.
【結果】
本法により2.4x2.4x3.0mm領域で,解像度15ミクロンでの皮膚組織の三次元画像化が可能であった.市販されている装置でも報告されているような表皮の角化細胞層,真皮,皮下組織の鑑別にとどまらず,毛細血管や毛包などの皮膚附属器の観察も可能であった.また,真皮層からの反射波の受信超音波スペクトル解析により,真皮層におけるコラーゲンおよび弾性線維の組成についても評価可能であった.
【結語】
本研究成果は,再生医療領域のみならず,皮膚科領域,形成外科領域,さらには美容領域にまで応用可能と考えられた.