Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:画像2

(S299)

モーフィング技術を応用した3D体積計測機能(1)−アルゴリズム

3D volume measurement applying morphing method (1)

中村 雅志1, 村下 賢1, 成田 弘彦2, 森田 温子2, 川地 俊明3, 竹島 賢治3, 乙部 克彦3, 高橋 健一3, 加藤 廣正3, 今吉 由美3

Masashi NAKAMURA1, Masaru MURASHITA1, Hirohiko NARITA2, Atsuko MORITA2, Toshiaki KAWACHI3, Kenji TAKESHIMA3, Katuhiko OTOBE3, Kenichi TAKAHASHI3, Hiromasa KATO3, Yumi IMAYOSHI3

1アロカ株式会社研究所, 2アロカシステムエンジニアリング株式会社技術部, 3大垣市民病院医療技術部診療検査科

1Research Laboratory, ALOKA CO.,LTD.Tokyo,Japan, 2Embedded System group1 Engineering Department, ALOKA SYSTEM ENGINEERING CO.,LTD.Tokyo,Japan, 3Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【背景】
近年,超音波診断装置においてリアルタイムに3次元空間の情報を収集できるようになった.3次元超音波のアプリケーションの1つに体積計測がある.腫瘍や嚢胞,臓器等を実体に即して抽出し,その3次元的形状や体積値を知ることは,良悪性判定や薬剤投与量の決定,あるいは治療効果判定等に有効と考えられる.今回,ユーザの操作負担を最小限に抑えつつ,境界が極めて不明瞭であっても精度良く体積計算および3D表示する機能を開発したので報告する.
【方法】
体積の近似値算出にはDisk Summation法が古くから用いられている.この方法では,断面間隔Δdを小さくするほど理想に近い体積値が得られるが,ユーザの操作負担が大きくなる.一方Δdを現実的な値にした場合は,体積値の精度が低下するとともに,3D画像が対象物の形状を良く反映できないという問題がある.そこで提案手法では,数枚の平行断層像において対象物の境界をマニュアルでトレースし,残りの大多数の中間断層面(実効上の最小間隔(Δd=1pixel)で配置)上に,モーフィング技術の応用によりマニュアルトレース間を形状的に滑らかに遷移する中間トレースラインを自動生成させる(Fig.1).全トレース面にわたって面積を積分することにより,体積値が求められる.
【結果】
ファントム実験データに対する処理結果をFig.2およびTable 1に示す.少ないマニュアルトレース面(5枚)からでも精度良く対象物を抽出できており,3D画像も滑らかである.なお,ファントムは,寒天をそら豆形状に加工し,精度良く体積計測を行った後,グラファイト入り寒天に埋め込んで製作した.
【まとめ】
モーフィング技術を応用してDisk Summation法を改良した.この結果,ユーザの操作負担を最小限に抑えつつ,境界が極めて不明瞭な場合でも対象物全体にわたって滑らかな輪郭を抽出でき,精度の良い体積計算および3D表示が可能となった.