Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:画像1

(S297)

超音波診断装置とMRI装置のマルチモダリティー化検討 II

A Study of Mutual Influence between Ultrasound Device and Magnetic Resonance Imaging-2

佐々木 明1, 荒井 修2, 阿部 信隆3, 仲本 秀和3, 窪田 純3

Akira SASAKI1, Osamu ARAI2, Nobutaka ABE3, Hidekazu NAKAMOTO3, Jun KUBOTA3

1㈱日立メディコマーケティング統括本部, 2㈱日立メディコUSシステム本部, 3㈱日立メディコ応用機器開発室

1Marketing Department, Hitachi Medical Corporation, 2Ultrasound Systems Division, Hitachi Medical Corporation, 3Application Development Office, Hitachi Medical Corporation

キーワード :

【背景と目的】
昨年に続き,超音波診断(US)装置とMRI装置のマルチモダリティーによるナビゲーション手法の検討を行なった.HIFUをはじめとする低侵襲局所療法において,リアルタイム性や操作性に優るUS画像と,軟部組織濃度分解能と温度感受性の高いMRI画像を融合させた画像誘導手術は重要であり,RVS※などの優れたナビゲーションシステムが必要である.
現在,MRI室内で使用可能なUS装置およびプローブが未開発であるため,MRIガントリー内でのオルタナティブな画像のアップデートが出来ない.そのため,MR撮像後そのつどガントリーから別室へ患者を搬送或はUS装置の電源投入し撮像する必要があり,緊急手術などには不向きである.
以下に,MRI内部で使用可能にするためのUS装置から発生するノイズ検討を行い,MRIへのノイズ影響を最小にするための検討及び対策を行ったので報告する.
【検討項目】
 装置は,術中対応可能な日立メディコ製のオープンMRIであるAIRIS-IIと,US装置EUB-7500を使用した.セクタ超音波プローブEUP-S50A及び高周波リニアプローブEUP-L73Sで磁性体を使用しない探触子を試作し,以下の項目を検討した.
昨年は,以下の前半4項目を実施した.
(1) MRI装置外部への漏洩磁場が US装置に影響を及ぼす空間範囲の把握.
(2) MRガントリー内での超音波プローブが使用可能な空間範囲の同定.
(3) 磁場が超音波画像へ与える影響の定性的,定量的把握.
(4) US装置の電気的ノイズ輻射がMRI画像に与える影響の定性的,定量的把握手法の確立.
その結果,US装置のノイズ輻射が強く,単なるシールドと電源フィルタ対策だけでは,MR室内に持ち込めない状態であることが確認された.そこで,今回,
(5)高ノイズ除去用電源フィルタの試作
(6)UPS(無停電)電源を持ちいてノイズ低減効果の2項目を確認した.
【検討結果】
ノイズ除去効果として,(5)のラインフィルター追加挿入では,US装置の電源を入れると,MRI画像に電気的ノイズがあらわれ,そのS/Nを60 dB以上劣化させ十分なフィルタ効果は得られなかった.次の(6)では,電源ラインからの外来ノイズと装置自身が発生するノイズを区別するため,低ノイズUPS電源(1kVA, Back-up時間2H)を試作しMRI室内に設置して外来ノイズを隔絶した.MR撮像中は超音波探触子をスタンバイ状態し,探触子グランドのみの接続にするなどの工夫をすることで約60dBのS/Nの改善が得られ,MRIガントリー内に探触子を固定したままでの撮像を可能にするための知見が得られた.
【検討課題】
MRI装置はUS装置の発するノイズの影響を受け易く,US装置側でのノイズ対策が必要であるが,幾つかの対策を行なえば,MRI下での超音波撮像が出来る見込みを得た.
 本研究は,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託研究として実施した.
※RVS:Real-time Virtual Sonography は㈱日立メディコの登録商標です
 1.荻原,仲本,佐々木,窪田; 2008日超医学術集会; 超音波診断装置とMRI装置のマルチモダリティー化検討1