Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:プローブ

(S295)

光線追跡法を用いた新シュリーレン法の画像特性評価

Image evaluation of a novel Schlieren method using ray-tracing simulations

鈴木 良輔, 工藤 信樹, 山本 克之

Ryosuke SUZUKI, Nobuki KUDO, Katsuyuki YAMAMOTO

北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻

Division of Bioengineering and Bioinformatics, Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【はじめに】
我々は,超音波音場を光学的手法により可視化するシュリーレン法を従来の光学系を用いずに実現する手法を新たに提案し,その有用性に関する検討を行っている[1].本報告では,光線追跡法を用いて従来のシュリーレン法と新シュリーレン法で得られる画像のシミュレーションを行い,両手法の比較を通じて提案法の有用性について検討した結果を報告する.
【方法】
前回の検討では,我々の提案法により超音波音場がどのように可視化されるかを一次元の光線追跡法を用いて検討した[2].今回は,二次元の音場分布について検討できるようシミュレーションを拡張するとともに,従来のシュリーレン法のシミュレーションも新たに開発し,両手法によって可視化される像の違いを検討した.音場はFig. 1 (a)に示すような波形のパルス音場を仮定した.超音波のピーク音圧は3 MPaで,x軸方向の音場分布は,中心軸上で最も音圧が高くなるよう設定した.
【結果および検討】
両手法で可視化される画像のシミュレーション結果をFig. 1 (b),(c)に示す.画像右に白線で示した波形は画像上下の▲と▼を結ぶ線上の輝度分布を表す.(b)従来法の結果では,画像上に三本のピークが見られるが,輝度分布をみると圧力波形の負圧に対応する部分が再現されていないことがわかる.一方,(c)提案法の結果では,与えた超音波波形を良く再現する輝度分布が得られている.この違いは両手法における屈折光の抽出方法の違いに起因すると考えられる.従来法のシミュレーションで仮定したナイフエッジを用いる光学系では,超音波で屈折した光の一部も同時に除去してしまうのに対し,提案法では超音波照射有り,無しの2条件で撮影した画像の差分をとることにより非屈折光のみを完全に除去できる点が異なるためと考えられる.
【まとめ】
光線追跡法を用いて,従来のシュリーレン法と我々の提案する新シュリーレン法の比較を行い,得られる画像の違いを調べた.その結果,提案法では従来法よりも忠実にパルス音場を可視化できることが示された.