Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
基礎:組織性状診断

(S294)

生体組織の固有音響インピーダンスを評価するための簡易計測プローブの提案

A simple measurement probe for characteristic acoustic impedance of biological tissues

小林 和人1, 森屋 健司1, 穂積 直裕2, 西條 芳文3

Kazuto KOBAYASHI1, Kenji MORIYA1, Naohiro HOZUMI2, Yosihumi SAIJYO3

1本多電子株式会社メディカル事業部, 2愛知工業大学電気工学科, 3東北大学医工学研究科

1Medical Division, Honda Electronics Co,. Ltd., 2Electrical Engineering Course, Aichi Institute of Technology, 3Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University

キーワード :

[背景]
生体組織の音速や固有音響インピーダンスを測定する方法として,医学生物学用超音波顕微鏡を開発し実用化した.本顕微鏡では,生きた状態の生体組織の固有音響インピーダンスを知ることができるので,生体組織の観察法として有用性が高まってきている.そこで,医用現場からは,測定したい組織に触れるだけで接触した生体組織の固有音響インピーダンスを測定する装置開発の要望がでてきた.しかし,超音波顕微鏡では機械走査することにより走査範囲内にリファレンス反射体を配置し組織観察と同時にリファレンス反射を得ることで生体組織の固有音響インピーダンスの測定をしたが,接触した場所の測定だけを行う簡易計測を行うには機械走査しないシンプルな構造が必要となる.そこで,固有音響インピーダンスを評価するための簡易計測プローブを考案し実験を行ったので報告する.
[方法]
超音波の測定部位までの伝播経路を,既知の2種の材質を使用し,伝搬経路内にこの2種樹脂の境界面を作りこの樹脂の境界面からの反射を利用して,送信された音響出力を求め,この境界面を透過して測定部位から得た反射波を測定することで測定したい組織の固有音響インピーダンスを求める.
ここで,二つの反射波は式1及び式2で表される.


 式1

 式2

S1は2種の樹脂の境界面からの反射波の測定値,Stgt は生体接触側の樹脂と生体組織の境界面からの反射波の測定値である.また,2種の樹脂の固有音響インピーダンスをあらかじめ知ることで,この連立方程式を解くことで測定したい組織(ターゲット)の固有音響インピーダンスを求めることができる.実験機は,超音波振動子にアクリルとポリスチレンの2種の樹脂を接着した構造とした.
[結果]
試作機で,異なる濃度の塩水の音響インピーダンスを測定し精度の確認を行った.また,皮膚の紫外線の照射率の異なる場所での皮膚の固有音響インピーダンスを測定し,有用な測定値の差を確認した.