Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

奨励賞演題
消化器

(S286)

EBD困難例に対する超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ (ESBD) の検討

Endosonography-guided biliary drainage (ESBD) in cases with difficult transpapillary endoscopic biliary drainage

洞口 淳, 藤田 直孝

Jun HORAGUCHI, Naotaka FUJITA

仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科

Department of Gastroenterology, Sendai city medical center

キーワード :

【目的】
超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ (Endosonography-guided biliary drainage, ESBD) の有用性を検証すること.
【方法】
対象は当センターで経験した経乳頭的胆道ドレナージ (EBD) 困難な胆道閉塞症例17例で,原疾患は膵癌7例,胆道癌6例,消化器癌のリンパ節転移3例,総胆管結石1例であった (男女比6:11,平均年齢71歳).方法は電子コンベックス型超音波内視鏡 (GF-UC240P, Olympus Co.) を用い経消化管的に胆管を描出し,19G針 (Echo Tip, Cook Co.; NA-200H-8019, Olympus Co.) で肝内胆管または肝外胆管を穿刺した.穿刺後ガイドワイヤー (GW) を胆管内に送り込み,穿刺部を細径バルーンもしくはテーパードカテーテルで拡張した.拡張後は一期的に7Fr.のPlastic stentを留置した.検討項目はESBDの1. 手技成功率と減黄効果,2. 偶発症,3. 治療経過についてである.
【結果】
1. 17例中9例で肝外胆管,8例で肝内胆管へのstent留置を試みた.肝外胆管の穿刺を試みた9例中8例は十二指腸から,1例では胃から穿刺を行った.肝内胆管の穿刺を試みた8例中6例は胃から,2例は腹部食道から穿刺した.全例穿刺および穿刺部から標的胆管へのstent留置に成功し,16例で良好な減黄が得られた.2. 偶発症は2例でみられ,1例は処置中GWが逸脱したため再穿刺を行い,限局性腹膜炎がみられたが,絶食と抗生剤投与で改善した.もう1例はESBDから1週間後にstentの迷入が認められたが,同部より再穿刺,stent留置を行い順調に経過した.3. ESBD後3例で原疾患に対する根治治療を目的に外科的切除を行った.また4例ではstent閉塞がみられたため3例でSEMSへ,1例では10Fのplastic stentへの交換を行った.計画的なstent交換も含め10例で太径stentへの交換を行った (SEMS 8例,10F plastic stent 1例,7F plastic stent×2本 1例).悪性胆道閉塞の非切除例での生存期間中央値(MST)は151日であり,ステントの開存期間は125日であった.
【結語】
ESBDはEBDやPTBDの適応の一部を置き換える有用な胆道ドレナージ術である.