Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

奨励賞演題
消化器

(S284)

造影USパラメトリックイメージング法による良性肝腫瘤性病変の質的診断の試み

Parametric imaging of contrast ultrasound for the evaluation of benign liver tumors

和久井 紀貴, 飯田 和成, 住野 泰清

Noritaka WAKUI, Kazunari IIDA, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

【目的】
Sonazoid造影US検査は肝腫瘤性病変の質的診断に応用されている.しかし実際,その染影表示は単色であるため,腫瘍径の小さな結節や血流動態の早い腫瘍の場合,詳細な血流動態を視覚的に把握するのに困難な症例を時々経験する.今回,我々はSonazoid造影USを用いたパラメトリックイメージングによる解析で良性肝腫瘤性病変の質的診断が可能か否かMicro Flow Imaging(以下MFI)と対比し明らかにした.
【方法】
症例は17症例17結節.その内訳はFNH 5結節と血管腫 12結節.各腫瘍径はFNH 21.2±6.7mm(13〜28mm),血管腫33.8±15.4mm(16〜70mm).男女比は男性9例,女性8例.平均年齢59.4歳(26〜89歳).装置は東芝社製Aplio XGを用い超音波造影剤Sonazoidを0.0075ml/Kg(推奨量の1/2)を静脈内投与し,MI値0.1〜0.3で血管相(0〜40秒)を動画で保存.その後,東芝メディカルシステムズの神山らが開発した超音波診断装置Apilo/Xario用の画像解析ソフトCOMMUNEを用いたパラメトリックイメージング法,およびMFIで各腫瘤の質的診断を行った.
【成績】
FNHの検討:3症例(28mm,28mm,14mm)はMFIでその染影動態を把握可能であったが,2症例(14mmと17mm)は染影動態の把握が困難であった.パラメトリックイメージング法では全例,染影動態を視覚的に評価可能であった.
血管腫の検討:MFIでもパラメトリックイメージング法でも全例,染影動態を視覚的に評価可能であった.しかし,腫瘍全体が染影されるまでの時間が5秒以内である,いわゆるhigh flowなものに関して,パラメトリックイメージングでの解析ではどの場所からどのような順で染影されるか,時間を追っておおよそ判断することが視覚的に可能であるため,腫瘤の染影動態がより詳細に検討可能であった.
【結論】
この解析ソフトは肝臓の染影される場所が時間を追って色分けできるため,どの場所からどのような順で染影されるか,時間を追っておおよそ判断することが視覚的に可能であった.特に腫瘍径の小さな結節や,血流動態の早い腫瘍において,MFIと比較しパラメトリックイメージング法では血流動態の把握に有用と思われた.また静止画1枚でその染影結果を説明する事が可能であり有用と思われた.