Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

ライブセッション
ライブセッション9
造影超音波検査の治療への応用

(S271)

ソナゾイド造影超音波による肝癌局所療法の効果判定

Study of Ablated volume after RFA and TACE using CE-US with Sonazoid

前川 清1, 工藤 正俊2

MAEKAWA1, 2

1近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部腹部超音波室, 2近畿大学医学部消化器内科

1, 2

キーワード :

現在,超音波造影剤としてSonazoidが多く使用されている.その特徴はSecond Harmonic法による低音圧での連続送信にて肝内の造影剤の動態が観察でき,且つPost vascular phase(注入後10から15分以降の時相)ではKupffer imageが観察できる.RFAによる局所治療を行った場合,B-modeによる治療後評価は困難を極める.治療直後ではRFA治療による肝実質の変化やガス像が残存し,治療前の結節がB-modeで確認が困難ないことが多い.造影超音波(CE-US)ではPost vascular phaseで治療痕がDefectとして明瞭に描出できる.しかし,造影超音波で鮮明な画像を得るための条件は測定装置や治療結節の位置ならびに被検者の体格に左右されることがある.我々は色々な測定装置でも治療後評価が可能なようにDefect Re-perfusion Imaging 1)を用いて治療後評価を行っているので報告する.
対象は平成19年7月より当院で行った肝癌の局所療法,RFA,TACEおよびTACE+RFAについて治療直後にCE-USで治療後評価を行い,同時にCE-CTなど他の画像診断を行った症例で1〜2年後の経過観察が可能であった症例を用いた.
測定装置はLOGIQ7(GE横河メディカル)を用いて撮像条件はPhase-inversionによるCPIモードを用いて,MI 0.20前後の設定で行った.
測定方法はソナゾイドを0.010mg/dlの濃度で静注後に治療部分を確認し,7〜15分以降のLate〜Post vascular phaseにて治療部分が造影剤Defect,周囲肝実質には造影剤が十分に溜まった時相で造影剤の再注入(0.010mg/dlまたは0.5ml )を行った.造影剤再注入後は低音圧の連続送信にて1〜2分間の観察を行う.
治療効果の判定方法は治療後Defect内への造影剤還流の有無を評価する.治療後Defect内に造影剤が認められない場合を「治療良好」とし,造影剤の再還流があり,再度Defectが確認できた場合を「遺残あり」と判定した.また,治療後Defect内に血管影が見られ,実質には染影が見られないときは「要経過観察」とした.
結果はCE-CTでは28例中4例で遺残あり,CE-USでは28例中7例で遺残あり,または要経過観察と判定した.
CE-USによるRFA局所療法の判定は結果としてCE-CTより擬陽性が高い結果にあることが多い.我々の結果でも同様である.RFAの治療後効果判定に際しては単に濃染が消えるのみでは治療法として十分ではない.すなわち治療後Defect内に再還流する造影剤の有無だけでは治療後評価として不十分である. 治療後の結節が不明瞭化することが多く,ablative marginがCE-USでは十分に評価できない欠点がある.見かけ上,一回り大きく焼灼されているように見えてもsafety marginについてはCE-USでは判断が難しい.CE-USによる効果判定には様々な問題があり,確立した方法としては発展途上であるが我々が行っている撮像の工夫Defect Re-perfusion Imagingや効果判定手技(Defect size 評価)について紹介する.
文献
 1)工藤正俊ほか:肝細胞癌治療支援におけるSonazoid造影エコー法の新技術の提唱:Defect Re-perfusion Imagingの有用性.肝臓48(6):299-301.2007