小谷 敦志¹, 内藤 昭智¹, 平野 豊¹, 上硲 俊法²

KOTANI¹, ¹, ¹, ²

¹近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部, ²近畿大学医学部臨床検査医学

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キーワード :

当院の血管エコー教育システム
　当院では血管超音波検査（血管エコー）を，心臓超音波検査（心エコー）を行う生理機能部門である循環機能検査室で行っている．循環機能検査室において超音波検査件数の多くは心エコーであるはため，まず心エコーに習熟し，その上で血管エコーの教育を行っている1）．心エコーは断層法とドプラ法を用いて評価する．血管エコーもドプラ法による血流情報を用い総合的に診断する必要があることから，心エコーを先に教育することは血管エコーを習得する上で有利となっていると考える．当院における血管エコー教育は超音波検査士（血管）であり血管診療技師である臨床検査技師が担当している．
血管エコーの習得のため心得るべきこと
　血管エコーは，目的血管以外に周辺臓器（骨や筋肉）が同一断面に描出される．さらに，狭窄や閉塞などによる側副血行路や血管の低形成など必ずしも同部位に目的血管が存在するとは限らない．血管を評価するためには解剖学的知識を駆使して目的血管を同定することが重要となる．
病歴，理学的所見を有効に使う
　血管エコーを行う際には，既往歴や現病歴，問診，視診，触診を確認することで効率よく血管疾患を診断できる，そのためこれらの理学的所見の知識や観察のしかたを覚えておくことが重要である．
Sonographerであるがゆえの超音波装置設定
　検査前には装置の特性を十分理解しておく必要がある．そのためには超音波の特徴を十分に理解しておく必要がある．静脈と動脈では血管の構造や血流速度が大きく異なる．対象とする血管に適した設定に切り替えないと，断層像の見え方や血流の速さに応じたドプラ表示とならないため正確な評価ができない．血管エコーの評価は，管腔内外や血管壁の輝度やドプラ法による血流情報を用いて総合的に診断する．それには複数の探触子を使い分けることが必要である．
当日のライブ
　血管エコーのターゲットは動脈と静脈があり，それぞれ検査目的が異なる．もちろん依頼科も多く検査法も異なる．頸動脈エコーや下肢深部静脈血栓症のエコー診断については本会よりガイドラインが提唱されているが，多くの血管エコーの検査手順については，各自テキストや講習会などで習得し検査を進めていることが現状であり，検査目的によっては検査開始がどこからでどこまで検査を行えばよいか悩む症例もある．ライブでは末梢血管を対象に広く一般的に行われている検査法を紹介しながら，必ず教育すべき検査のポイントや注意点を解説する．
　1）小谷敦志，平野豊，赤木将男ほか： Vascular Laboratoryの現状と大学病院における課題．脈管学．47巻6号．601-605，2007.