Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

ライブセッション
ライブセッション5
私の超音波教育法(心臓)

(S264)

私の超音波教育方法(心臓) −新人教育−

My ultrasonic education technique (heart)−rookie training−

種村 正

TANEMURA

心臓血管研究所付属病院臨床検査部

キーワード :

 超音波検査は腕の差がでる検査である.説得力ある画像がとれれば嬉しいし,それが評価されれば更に努力する.そうやって技術を磨いてきたが,新人を教育する立場になってみると今と昔はだいぶ違う.「俺の画像を見て覚えろ!」はもはや通用しない.
 新人が配属されるのは新入職員,ローテーションの2パターンがあるが,その度にベテランの指導者を決めて教育を行っている.実際には患者に2名で検査を行うことを説明し,新人と指導者が交替して検査を行い,両者の画像や計測値を比較しながら教育を進め,約1年間で独り立ちできるようにしている.

教育カリキュラム
・心エコーに配属(新人・ローテーション)〜1ヶ月
 患者誘導,受付が主業務
 カルテを見て専門用語,略語,疾患の病態生理を覚える
 職員を対象に自主トレを行う
・1〜2ヶ月
 検査見学,自主トレが中心.Mモード,断層法の計測を行う
 正しい軸を習得する
・2〜3ヶ月
 所見のない患者を部分的に検査する(最初は層画像とMモードのみ)
 指導者がすべて取り直し,画像,計測値を比較する
・3〜6ヶ月
 所見のない患者を1人で検査できるようにする.
 指導者は必要最小限を取り直す
 ドプラ法,経食道エコーの補助ができるようにする
・6ヶ月〜1年
 疾患のある患者を一通り検査できるようにする
 指導者は必要最小限を取り直す
 ビデオ記録,計測値は指導者が再確認する
・1年以降
 独りでどんな症例でも検査できるようにする
 指導者の再確認をなくす
 特殊検査ができるようにする

 昔は特に教えなくとも見よう見まねで新人は育ったが,今は全てを教えないと新人は育たない.しかし,検者間差の少ない検査を維持するためには新人を育てる労力を惜しんではならない.その新人が数年後にはまた同じように後輩を育成してくれるだろう.多分.