Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

ライブセッション
ライブセッション1
超音波診断装置の人間工学的デザインについてー超音波ベンダーの各装置の比較検討

(S256)

Video Display Terminal障害予防のための新しい超音波診断装置について

New Ultrasound Equipment for Prevention of Video Display Terminal Disorders

中田 典生

NAKATA

東京慈恵会医科大学付属第三病院放射線部

キーワード :

Video Display Terminal(以下VDT)障害とはVDTに向かって長時間仕事をしているために起きる健康上の問題の総称で,眼疲労,頭痛,めまい,頸腕症候群,腰痛が主な症状である.超音波検査もVDTを使用した作業であり,VDT障害は起こりうる問題である.厚生労働省は2002年にVDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインを策定しており,画像診断もVDT作業に含まれている.そこで2003年に我々は,日本超音波医学会第76回学術集会(札幌)において,VDT障害の観点に立った超音波診断装置の基本的デザインの試案を作成し,考察を加えて発表した.今回は,ライブセッションにおいて各超音波ベンダーの装置について我々の試案との比較検討を行うことにする.
人間工学的なデザインにおいては,個々ユーザーの体格に合わせた出入力装置の配置の選択が重要であり,ユーザー側も正しい知識を見につけ,対処する必要があると考えられた.またVDT障害防止のためには,検査室の照明,椅子なども重要な要素である.
VDT障害防止の対策は参考文献(1,2)から超音波検査に当てはまる事項を抜粋し,VDT障害防止のための超音波診断装置の基準(試案)を作成.以下に記載する.
照明と採光:室内の照明は300から1000ルクスが適切.また画面からの入射角は500ルクス以下.ディスプレイ上に照明光源や窓のような高輝度物体が映り込まないような配慮をすべきだが,必要以上に部屋を暗くしない.
画面の位置:画面の上端は眼の高さより少し低くする.画面と眼の距離は40cm以上.
腕の姿勢:各関節をできるだけ中間位に保つ.ひじを中空で保持し続けて作業せず,できるだけひじ・腕を保持台等に支えて作業をする.
体幹の姿勢:極端な前傾姿勢,後傾姿勢,ねじれ姿勢の継続を避ける.
椅子について:床からの座面の高さは,作業者の体形に合わせて,適切な状態に容易に調整できる回転椅子を用いること.また適当な背もたれを有していること.
ディスプレイの位置:ディスプレイ画面と患者との視距離の差が極端に大きくなく,かつ,適切な視野範囲になるようにする.
モニターの位置を水平な目線より下方に設定することは,ドライアイを防止する手法の一つである.
参考文献:
 1.Industry Standards for the Prevention of Work-Related Musculoskeletal Disorders in Sonography http://www.sdms.org/pdf/wrmsd2003.pdf
 2.新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の策定について
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/04/h0405-4.html