Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ2
産婦人科における3 D データの応用

(S251)

4D超音波による胎児行動の観察

Four-Dimensional Sonographic Assessment of Fetal Behavior

柳原 敏宏, 金西 賢治, 佐々木 睦子, 秦 利之

Toshihiro YANAGIHARA, Kenji KANENISI, Mutuko SASAKI, Toshiyuki HATA

香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

近年,周産期分野において4次元超音波法(4D)が広く用いられるようになり,子宮内での立体的な胎児状態の観察や胎児行動の観察が可能となった.これにより,正確な形態異常の診断や胎児神経の発達の評価方法として期待されている.さらに経腟プローベによる4次元超音波法も可能となったことにより妊娠初期からの詳しい子宮内の胎児行動の観察が可能となった.我々が行った4D超音波による胎児行動観察による研究について報告する.
1.)経腟4D超音波法による妊娠初期胎児行動の検討
妊娠10週〜13週の正常胎児15例を対象とした(妊娠10-11週;8例,妊娠12-13週;7例).経腟4Dを用いて1.arm movement,2.leg movement,3.short trunk movement (20秒内での動き),4.long trunk movement (20秒以上の連続した動き),5.jumpingの項目について観察した.10分間観察し,上記項目の回数をそれぞれカウントした.対象を妊娠10-11週と妊娠12-13週の群に分け,それぞれの各項目についても検討した.上肢の運動は妊娠初期から多く認められた.短時間の躯幹の動きは妊娠のより早期より認められるが,jumpingの様な大きな動きは妊娠12から13週で多くなる傾向が認められ,より統合した複雑な動きへと変化して行く事が推察された.
2.)early second-trimesterにおける胎児行動の観察
妊娠14週〜18週のsecond trimesterの正常胎児13例を対象とした.1.head movement, 2.mouth movement, 3.hand movement, 4.trunk movement, 5.leg movementについて60分間観察し,各項目ごとにそれぞれの動作の行われた時間を求めその評価を行った.その結果,arm movementが最も盛んに行われ,ついでhead,leg,trunk movementの順であり,early second-trimester胎児においては上肢の運動が活発であることが示唆された.観察時間中胎児行動の認められない時間は43.9%であり,活動期時間のほうが休止期時間よりも長いことが示された.
3.)4D超音波法による妊娠28週から34週での胎児表情の観察
対象は同意を得られた10名を対象として行った.15分間連続して表情の観察を行い各表情について検討した.その結果,口の運動は最も頻繁におこる表情であった.一方少ない表情はしかめっ面と吸啜運動であった.
4.)双胎妊娠における胎児接触行動の検討
妊娠10-13w二絨毛膜二羊膜双胎(Dichorionic Diamniotic :DD)妊婦8名と一絨毛膜性二羊膜双胎(Monochorionic Diamniotic:MD)妊婦6名を対象とした.4Dで経腹的に30分間連続的に観察後,双胎児の接触行動をカウントしや.分析は妊娠10-11w,12-13wのDD,MDそれぞれについて検討した.その結果,1.DD10-11wではHLとALの頻度が他に比べ有意に多かった.2.DD12-13w,MD10-11w,MD12-13wの接触各パターン間で有意差はみられなかった.3.接触パターンの検討では,HAはDD10-11w,DD12-13w,MD10-11w,MD12-13wの全てで有意差がみられた.これらより双胎間の接触行動は発達などに影響を及ぼす可能性が示唆された.