英文誌(2004-)
ワークショップ
ワークショップ2
産婦人科における3 D データの応用
(S250)
3Dインバージョンモードを用いた画像の再構築
Three-demensional reconstruction using inversion mode
田中 宏和, 秦 利之
Hirokazu TANAKA, Toshiyuki HATA
香川大学周産期学婦人科学
Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine
キーワード :
3次元超音波法の利用により,体内の種々の構造物を立体的に描写する事が可能となり,産科婦人科領域では急速に広まった.しかしながら超音波画像の性格上,管腔臓器等のEcho free spaceで描写される臓器については,周囲のEcho像から診断する事を余儀なくされてきた.近年,超音波で得られる信号を反転させる事で,hypoechoicの部分をhyperechoicとして描出する技法(インバージョンモード)が可能となった.このインバージョンモードを用いると,元来Echo free spaceとして認められる領域がhyperechoicな領域として描写される.これを3Dで描出する事で,管腔臓器を立体的に描出することが可能となる.
今回,インバージョンモードを用いた描出例を示すとともに,臨床応用への可能性について検討を試みた.超音波診断装置は,Voluson 730 Expert(General Electric Medical Systems,米国)を用い,3次元超音波法にて取得したVolume Dataから,インバージョンモードを使用して3次元画像を再構築を行った.
インバージョンモードの応用例として,始めに1st-trimesterにおける胎芽および胎児の脳胞について,3次元超音波画像を再構築を行った.通常の超音波画像では胎芽(胎児)の頭部において,脳胞部分がEcho free spaceとなるため,インバージョンモードを用いることで,発育中の胎芽(胎児)脳胞がhyperechoicな構造物として描出される.胎芽(胎児)の脳胞は,妊娠7週の症例では,対象が非常に小さいため描出が困難であったが,妊娠8週〜妊娠9週の症例においては,5つの脳胞よりなる2次脳胞の同定が可能であった.(Figure)
次に胎児の心血管系について,インバージョンモードを用いた描出を試みた.胎児の向きなどの諸条件に左右されるが,概ね各心室や大血管の位置関係や走行がわかり易く描出された.一部の先天異常例を含めて提示する.
その他,管腔構造を示す部分についてインバージョンモードを用いた3次元超音波画像の構築例を示す.
インバージョンモードを用いた3次元超音波画像により,管腔構造を示す領域が立体的に描出され,胎児においては先天異常の診断に有効となりうる可能性が示唆された.