Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ1
超高周波超音波診断(超音波生体顕微鏡)の眼科領域における応用

(S247)

UBMによる隅角検査

Examination of the anterior chamber angle by ultrasound biomicroscopy (UBM)

上田 潤

Jun UEDA

新潟大学医歯学総合病院眼科

Division of Ophthalmology and Visual Science, Niigata University Graduated School of Medical and Dental Sciences

キーワード :

 Pavlinらによって1990年代に導入された超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicroscopy;以下UBM)は,閉塞隅角のメカニズムを探る上で,一つの大きなブレークスルーとなった重要な眼科検査機器である.これまで一般的な診察ではブラックボックスとなっていた虹彩後方の構造,すなわち毛様溝,毛様体,毛様突起,チン氏帯,水晶体赤道部,毛様体皺壁部,前部硝子体膜,上脈絡膜腔,などの前眼部形態の詳細な描出が,この器械の登場によって初めて可能となった.毛様体の前方回旋という様々な病態に続発する浅前房のメカニズムが,この検査で証明されたことは重要であるし,悪性緑内障発症眼の毛様体皺襞部で,毛様突起の立ち上がりを前部硝子体膜が圧平している所見も診断上極めて有用である.また,これまで本邦では比較的稀とされてきたプラトー虹彩形状が実際には多く存在し,相対的瞳孔ブロックと併存して狭隅角に関与している症例が少なくないということが,UBMの登場によって明らかとなった.今後,閉塞隅角緑内障の治療において,レーザー虹彩切開術と水晶体再建術の占める割合が大きく変わっていく可能性があり,治療方針を決定する上でUBMは一層重要な検査になってくると考えられる.本講演では,閉塞隅角に関わる様々な病態を示したUBM所見を供覧し,臨床における有用性を再確認する.