Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション12
どこまで来た膵腫瘍の超音波診断

(S239)

MDCTによる膵腫瘍の診断

Radiological diagnosis of pancreatic tumors by MDCT

蒲田 敏文

Toshifumio GABATA

金沢大学医学部放射線科

Radiology, Kanazawa University, School of Medical Science

キーワード :

MDCTは高い空間分解能と時間分解能を有しており,膵癌の診断とくに進展度診断には有用性が高い.我々はこのMDCTの高い分解能はいかすために,多相撮影によるダイナミックCTを薄いスライス厚(1.25mm slice thickness)で施行している.高濃度ヨード造影剤(370mgI/ml)を体重あたり1.6ml/kgで30秒間静注し,動脈相,膵実質相,門脈相,平衡相の4相を撮影している.MDCTによるダイナミックCTは膵癌の検出,良性病変と膵癌との鑑別診断ならびに膵癌の進展度診断について詳細な情報を得ることが可能である.動脈相のVolume dataから3D再構成画像(Volume Rendering)にて膵周囲の動脈の解剖を立体的に描出することが可能である.また,多方向のMPR (Multiplanar reformaion)画像を作成することにより,膵癌の浸潤の程度や周囲臓器との関係をより正確に把握できる.膵の良性腫瘍(膵内分泌腫瘍や漿液性嚢胞腺腫)も時に主膵管を閉塞あるいは狭窄させて,膵癌に類似した画像所見を示すことがある.膵癌は乏血性の腫瘍であることが多いので,これらの良性腫瘍との鑑別のためには多時相のダイナミックCTによって腫瘍のvascularityを正確に評価することが重要である.膵癌の肝転移はAP shunt様の一過性濃染を伴う頻度が高い.時に微細な肝転移の場合には腫瘍自体は同定できず,ダイナミックCTでは肝の濃染ムラのみが認められることがあることも留意する必要がある.