Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション8
血流計測法の新展開

(S222)

血流速度ベクトル計測を目指した超高速超音波イメージング

High Frame Rate Ultrasonic Imaging for Vector Flow Measurements

長谷川 英之1, 2, 金井 浩1, 2

Hideyuki HASEGAWA1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学大学院医工学研究科, 2東北大学大学院工学研究科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

1. 目的
近年,超音波ビームの方向と血流の方向がなす角に依存しない血流速度計測法が研究されている[1,2].これらの方法は主に,(1) 超音波音場を従来の超音波ビーム方向と垂直な方向にも変調することにより,その変調成分の周波数と位相変化を用いてビームと直交する方向の速度成分も推定するもの,(2) 血球からのエコーのパターンを2次元的にトラッキングするもの,に大別される.本報告では,(2) を実現するために必要な高フレームレート超音波イメージング法について検討を行った.

2. 原理
従来のリニア走査では送信・受信ともに集束ビームを形成するため,フレームレート (FR) は送信繰り返し周波数を走査線数で割った値となる.一方,parallel beam forming (PBF)[3]では,広いビームを送信 (本報告では平面波) し,送信ビーム内に複数の受信ビームを形成するため,リニア走査と同じ走査線数を得るために必要な送信回数を減少させることができる.本報告では,送信回数を3,1回の送信により形成する受信ビーム数を24とし,FR約3500 Hzで72本の走査線を形成した [4].

3. 実験結果
33才男性の右総頸動脈の心電図R 波後0.15秒のタイミングにおける断層像を図に示す.図(b)では, 血流イメージングには±5度偏向した受信ビームを用いた.受信ビームを偏向することにより動きの遅い組織からのエコーと血球からのエコーのドプラシフトの差が大きくなり (血流方向とビーム方向がなす角が小さくなるため),受信ビームを偏向しない図(a)の場合に比べ図(b)では血球からのエコーが良く強調されている.

4. 総括
本稿で述べた方法は,血流計測用,組織イメージング用のビーム両方を高FR (約3500 Hz) かつ等フレーム間隔で走査できるため,定性的なイメージングだけでなく,エコー信号をトラッキングすることにより血流速度と動脈壁変位・ひずみの同時計測も期待できる.

参考文献
[1]Jensen and Munk: IEEE Trans UFFC, 1998.
[2]Bohs, et al: IEEE Trans UFFC, 1998.
[3]Tanter, et al: IEEE Trans UFFC, 2002.
[4]Hasegawa and Kanai: IEEE Trans UFFC, 2008.