英文誌(2004-)
パネルディスカッション
パネルディスカッション6
眼部超音波ドプラーによる微小循環の評価
(S215)
超音波カラードップラー法による眼内循環動態の評価について
The evaluation of retrobulbar hemodynamics with color Doppler imaging.
井戸 正史
Masashi IDO
山田赤十字病院眼科
Ophthalmology, Yamada Red Cross Hospital
キーワード :
超音波カラードプラ法(Color Doppler Imaging : CDI)により眼球後方を走行する眼動脈(Ophthalmic artery : OA)とそれより分枝して視神経内へ入り網膜へと分布する網膜中心動脈(Central Retinal Artery : CRA)と視神経近傍で強膜を貫き視神経乳頭を含め主に脈絡膜に流入する短後毛様動脈(short Posterior Ciliary Artery : PCA)について経時的な血流速度変化をとらえる事ができ,その収縮期最高流速(Peak systolic velocity : PSV)と拡張期最低流速(End diastolic velocity : EDV)を計測する事が出来ます.しかしながら,血管径が未知なため血流量を算出することはできません.血流速度の増減は血流量の増減を示すものではなく,測定点における血管径の変化や灌流圧に影響をうけることも考えられ,流速単独で血流評価をするのは問題だと思われます.そのため,測定点より末梢における血管抵抗を反映するとされる指数として,(PSV EDV)/PSVにより算出される末梢血管抵抗指数(Resistive Index : RI)と,血圧,CDI後測定される眼圧から算出される眼灌流圧(平均血圧から眼圧を引いた値)とを眼血流評価の指標としています.このような,血流変化の評価は緑内障眼の病態や緑内障点眼薬の血流増加作用の検出などに応用されてきました.
また,こうした微小血管の血流速度検出は,眼底透見困難な患者において検出された眼内膜エコー像が剥離網膜かどうかを判定するのに非常に有用な診断ツールになります.眼科臨床で実用的なCDIの利用法として,網膜剥離検出に関しても紹介したいと思います.