Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション4
びまん性肝疾患の超音波による評価

(S207)

びまん性肝疾患のための超音波イメージングに関する検討

Consideration on the US imaging methods for chronic liver disease

神山 直久1, 住野 泰清2, 中島 早苗2, 金山 侑子1

Naohisa KAMIYAMA1, Yasukiyo SUMINO2, Sanae NAKAJIMA2, Yuko KANAYAMA1

1東芝メディカルシステムズ㈱超音波臨床応用研究開発グループ, 2東邦大学医療センター大森病院消化器内科

1Apprication & Research Group, Ultrasound Division, Toshiba Medical systems Corp., 2Department of Internal Medicine (Omori), Faculty of Medicine, Toho University

キーワード :

【はじめに】
びまん性肝疾患の診断および定量評価を目的として,超音波受信信号を用いた生体内組織性状診断の研究が試みられている[1].本稿では,振幅信号の統計情報を元に,肝臓内線維化ステージの定量手法に関する最新手法について報告する.
【手法(現在までの試み)】
ASQ法は,エコー信号の振幅の平均・分散値の,スペックルパタンの統計量との類似性を解析することで,スペックルパタンに含まれる微小構造物の存在を定量化する手法である[2].本手法によるスコアは,肝臓内の線維化の量と相関を持つが,個人差によるばらつきによる例外も多く実用には至っていない.US-REDと呼ばれる指標[3]は,ASQの解析ROIの大きさを小葉レベルまで縮小し,線維化構造のダイレクトな抽出を試みたもので,線維化ステージとの相関が認められている.
 個人差によるばらつきの原因を検討すると,健常人でも血管壁構造(あるいはグリソン鞘)が多く視認される断層像が得られた場合に,疾患同様なASQスコアを呈してしまうということが判明した.そこで次のような改良手法を採用した:第1に,微小ROI内の統計解析により血管構造量を反映する数値C1を得る.第2に,相対的に大きなROI内の統計解析により,より巨視的不均一性のスコアC2を得る.最終的にC2/C1を計算することで,血管構造の個人差ばらつきを軽減することが可能となった.更に上記C1の値は,脂肪肝においては健常人と比較して顕著に低下する結果となり,最近の装置では定量化が困難とされている軽度脂肪肝においても確実な診断と定量化が行えることが示唆された.C1, C2の値はそれぞれ独立した計測となるが,C2/C1を2次元マッピング(パラメトリックイメージ)することにより,超音波断層像との視覚的な対比が可能となった(Fig).
【参考文献】
[1] Yamaguchi et al. JJAP, 41(5B) 3585-89 (2002).
[2]神山他,日超医基礎研究会, BT-2005-17, 1-5 (2005)
[3]中島他,19回日超医関東甲信越地方会, 55 (2007)