藤本 研治¹, 辰巳 千栄², 上嶋 一臣², 外村 明子⁴, 三竹 毅⁴, 金 栄浩¹, 山本 佳司¹, 椎名 毅³, 工藤 正俊², 加藤 道夫¹

Kenji FUJIMOTO¹, Chie TATUMI², Kazuomi UESHIMA², Akiko TONOMURA⁴, Tsuyoshi MITAKE⁴, Shigehiro KIM¹, Keiji YAMAMOTO¹, Tsuyoshi SHIINA³, Masatoshi KUDO², Michio KATO¹

¹国立病院機構南和歌山医療センター内科, ²近畿大学 消化器内科, ³京都大学大学院 人間健康科学, ⁴株式会社日立メディコUSシステム本部

¹Department of Internal Medicine, NHO Minamiwakayama Medical Center, ²Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University School of Medicine, ³Human Health Sciences, Kyoto University, Graduate School of Medicine, ⁴Ultrasound Systems Division, Hitachi Medical Corporation

キーワード :

【目的】
我々は超音波を用いて組織弾性を客観的に映像化するReal-time Tissue Elastography（以下RTE）をびまん性肝疾患に使用し，肝RTEで得られた画像の特徴量を用いて重回帰分析を行い，重回帰式から算出される肝炎staging推定値の有用性について報告した（日超医第79，80，81回学術集会）．今回肝炎staging推定値を算出する重回帰式に採用するパラメータの多寡がstaging評価へどのように影響するか検討し，staging推定値判定の精度向上を試みた．
【方法】
対象は肝生検病理組織にて診断されたＣ型慢性肝炎，肝硬変の合計50例，正常ボランティア15例である．線維化を示すstage内訳はF0:2例，F1:10例，F2:17例，F3:12例，F4:9例である．超音波診断装置は日立メディコ社製HV 900，探触子は低周波用L52リニアプローブ（送信周波数7-3MHz）を用いた．探触子は軽く保持，心拍動による歪みを利用，肝右葉を右肋間より観察した．観察および画像取得：RTE静止画は最も画像が安定する時相で取得，診断装置内に保存した．画像解析は日立メディコ社提供のパラメータ解析試作ソフトウエアにより全例同一面積のROI内画像のカラー情報から相対的な歪み値へ変換，歪み値の平均値/分散値，硬く描出された領域の個数，面積および同領域形状の複雑度など11種類のパラメータ抽出を行った．更に抽出した特徴量と肝生検組織病理診断staging（新犬山分類）の各群間で重回帰分析にて解析，一次多項式でstagingに重回帰式の当てはまりが有意である関数，重回帰式を作成した．今回重回帰式に用いるパラメータを4項目，11項目でそれぞれstaging推定値を算出し，パラメータの多寡により病理組織診断（F因子）との相関，各stage間の有意差を比較検討した．
【成績】
stagingとの相関係数はパラメータ4項目でr=0.7512，11項目でr=0.8996とパラメータを増やすことでより強い相関がみられた．また各stage間の推定値分布はパラメータを増やすことで stage1と2のoverlapがなくなり，stageが高いほど有意に推定値が高い分布となることが確認された．
【結論】
RTE特徴量，staging推定値は良好に肝線維化を反映し，パラメータを増やすことで更なるstaging推定値の精度向上が図れた．RTEは非侵襲的，経時的にstagingの判定が可能なモダリティーになりうる．
【参考文献】
　1）Fujimoto K, Wada S, Oshita M et al: Non-invasive evaluation of hepatic fibrosis in patients with chronic hepatitis C using elastography. MEDIX Suppl. 2007:24-27
　2）Tatsumi C, Kudo M, Ueshima K et al:Noninvasive evaluation of hepatic fibrosis using serum fibrotic markers, Transient Elastography (Fibroscan) and Real-Time Tissue Elastography. Intervirology. 2008;51:S27-S33