Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション3
自覚症状に対応した領域を超えた超音波検査:腹痛の超音波検査による鑑別診断

(S200)

泌尿器領域における腹痛の超音波診断

Ultrasound of abdominal pain in urological disease

千葉 裕

Yutaka CHIBA

東北公済病院泌尿器科

Urology, Tohoku Kohsai Hospital

キーワード :

腰背部,側腹部,下腹部の痛みを訴える泌尿器科疾患としては,尿管結石・急性腎盂腎炎・精索静脈瘤・急性尿閉・膀胱炎などがある.時に精巣上体炎や精巣捻転などいわゆる急性陰嚢症で,陰嚢ではなく鼠径部から下腹部の痛みを訴えて受診することがあるので注意が必要である.
尿管結石は,超音波が有用な泌尿器疾患の一つである.もちろん患側の水腎水尿管がその超音波所見である.しかし時に過度の蓄尿で水腎をきたす症例,先天性の水腎症症例などもあり,その確定診断には検尿,腎尿管膀胱部単純写真(KUB)や最終的には排泄性尿路造影(IVP, DIP)などが必要となるが,多くの症例がその特徴的な症状と超音波検査だけで診断をつけられるといっても過言ではない.水腎水尿管を認めた場合,極力拡張した尿管を膀胱側に追跡し,音響陰影をともなう高輝度結石像を確認できればその診断はさらに確実となる.また突然の疝痛発作で救急を受診するような結石の多くは尿管末端に嵌頓した小結石のことが多いので,極力尿の溜まった状態で経膀胱的に尿管口から尿管下端を観察するように心がける.時に下部尿管結石で患側の精巣痛を訴えることがあるので覚えておくと良い.
本来であれば,患者さんの問診や診察を行った医師が直接超音波検査も行うことが理想であるが,一般病院の多忙な外来においてはそれもままならない.私の病院でも,問診ののち,検尿,採血,レントゲン写真などの検査結果が出るまでの間に超音波検査を検査技師さんに依頼して施行してもらうことが多いが,正確な超音波診断のためには医師と検査技師間のコミュミケーションが重要であると考えており,医師の方からは面倒くさがらずに,また技師の方からは遠慮することなく,お互いの情報を共有しあうように常日頃心がけている.