Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション2
3 D エコーを使いこなす

(S198)

3Dエコーの応用と期待

Application and anticipation of 3D Echo

望月 剛

Takashi MOCHIZUKI

アロカ株式会社研究所新技術企画室

New Technology Planning Office, Aloka Co.Ltd.

キーワード :

我々の願望は人体の内部を,しかも目的とする病変部をそのままの形(立体)として透視することである.
多くの先生方はレントゲン像,つまり2次元平面に投影された影から,またはCTやMRIの複数の断層面を観測することから,頭の中で臓器の状態を想像する読影作業を強いられている.これらの作業をより短時間でかつ,より客観的に行う方法として,3Dエコーの期待が高まった.
胎児や心臓疾患における形態異常の診断などの一部ではこの期待に応えて来たが,冒頭の願望には程遠い.この原因は医師が診断に必要とする部位のみを他の臓器から抽出する作業,つまり“医師が診たいものをどのように装置に指示し,装置ではいかに医師に見せるかの課題である.すなわちボリュームデータとして得られた情報の中から,医師が診たいと思う組織や構造をリアルタイムに表示しなくてはならない.この課題を克服するには“診断を行う主体である医師とそれに応え得る情報を提示する装置との連携である操作性(マン・マシン・インターフェーイス)”と“指示された情報のみを正確に抽出する信号処理・画像処理技術”の研究が加速されねばならない.これが第1の期待である.
第2の期待は3Dの応用の拡大である.まず診断としては,組織の3次元形状やその動態を観測し,診断を行う形態診断に加えて,複雑な形状の臓器(例えば,胎児の全体や胎盤など)の体積測定に応用される.この場合にも自動計測等,測定したい部位の特定方法が重要なテーマとなる.さらには,形態観察から治療応用への拡大の期待である.超音波画像を治療支援として用いる方法は,超音波ガイド下での穿刺術としてすでに長い歴史がある.最近ではRFAのガイドなどに超音波断層表示が必須なものとなっている.しかし,これらはいずれも断層表示を利用しているため,1断面を用いてこれらのガイドを完璧に行うには医師の高度な技術と熟練が要求される.さらに,カテーテルによるインターベンショナルな治療が研究開発されているが,これらがより安全にかつ一般の病院で広く普及されるためには,断面表示をベースとしたガイドから,さらに進んだ3Dエコーによるナビゲーション技術への応用技術への展開が重要である.
第3の期待は,究極の願望として3Dエコーを超えた超音波立体視表示の実現である.ナビゲーションには操作空間内での距離感覚が重要であるが,3D表示(擬似3D表示)ではその感覚を得ることが非常に困難である理由に他ならない.この立体視においても,先に述べた“診たいもの”の抽出技術は不可欠な技術である.
以上3つの期待は単なる願望ではなく,すでに着実に研究開発が進められている.本パネルディスカッションではその研究の幾つかを紹介する.