瀬尾 由広, 石津 智子, 青沼 和隆

Yoshihiro SEO, Tomoko ISHIZU, Kazutaka AONUMA

筑波大学循環器内科

Cardiovascular division, University of Tsukuba

キーワード :

目的: 3D speckle tracking imaging （3D-STI） は局所左室機能を評価する新たな方法であるが，その計測値の信頼性はいまだ明らかでない．本研究の目的は左室strain計測における3D-STIの信頼性について実験的検討により検証することである．
方法:羊10頭を用いて検討を行った．6個の超音波クリスタルを左室基部，中部，および心尖部の前壁，側壁の心内膜側に留置した．これらと対をなすように6個の超音波クリスタルを心外膜側に留置した．心内膜側のクリスタルから基部，中部，心尖部circumferential strain（CS），中部前壁，心尖部前壁，中部側壁，および心尖部側壁のlongitudinal strain（LS）を計測した．心内膜および心外膜側クリスタルにより基部前壁，基部側壁，中部前壁，中部側壁，心尖部前壁，および心尖部側壁のradial strain（RS）を計測した．3D-STIは東芝社製ARTIDAを用いて，3D像は心尖部から記録した．画像はベースライン，ドブタミン投与下，プロプラノール投与下，および左前下行枝結紮による虚血下で記録した．
結果: LS 136セグメント，CS 108 セグメント, および RS175 セグメントでのデータ 解析が可能であった．図に示すようにstrain値は3つのコンポーネントとも超音波クリスタルによるstrain値と良好な相関が認められた．しかし，LS, CSに比べると，RS値では両手法間の不一致が大であった．Bland-Altman法による解析では，CSは超音波クリスタルによるstrainが大なる傾向があり，2％のbiasが認められた．一方，RSでは3D-STIでstrain値が大きく4％のbiasが認められた．また，検者内および検者間のばらつきは，LSが7.8％ および 8.2％，CS が8.9％ および 9.8％，および RSが13.5％ および 15.4％ であった．
結論: 超音波クリスタル法との比較によって，新たな心機能評価法である3D-STIによるstrain計測値の信頼性が確認された．