Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション2
3 D エコーを使いこなす

(S197)

産婦人科における3Dエコー

3D ultrasound in obstetric and gynecologic fields

秦 利之

Toshiyuki HATA

香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

産婦人科における3Dエコーは,現在妊婦健診時の胎児の顔のスナップショット,あるいは顔の表情,手足の動きの観察など,主に妊婦あるいはその家族へのサービス的な道具として使用されているのが現状ではないかと思われる.しかしながら,最新の3Dエコーには多様な機能が搭載されており,本講演ではその多様な機能をいかに実際の臨床の場で用いることができるかについて,その手技も含めて紹介する.
1.胎児3D/4D心エコー
STIC(spatiotemporal image correlation)法はダイナミックに胎児心臓の動きを多断面表示あるいは表面表示できる最新の4次元超音波技術である.その特徴は心拍同期を必要とせず胎児心臓の動きをリアルタイムに表示できることである.さらに最近では,Sonography based volume computer aided diagnosis (SonoVCAD),“Thick-slice” rendering,Tomographic ultrasound imaging(TUI),4D color/power Doppler,4D HD-flow,4D B-flow,4D inversion mode などの新技術が開発され,より詳細な胎児心臓の観察ならびに評価が可能となり,その臨床応用が期待されるところである.
2.産科領域における3D inversion mode の応用
Inversion mode は白黒反転させることにより,通常のB-modeでエコーフリースペースとして描出される心臓,血管,胃,膀胱などが反対にエコー輝度のある超音波像として描出される新技術である.3D inversion modeにより妊娠初期の胎芽脳胞,胸腹水,水腎症,腎嚢胞,卵巣嚢腫などの立体的な観察が可能である.
3.3Dエコーを用いた胎児体積計測
3Dエコーを用いた体積計測が可能となり,上肢あるいは下肢の体積計測により間接的に胎児推定体重予測が報告されるようになってきた.さらに,大脳,小脳,心臓,肺,肝臓,脾臓,腎臓,副腎などの胎児臓器計測が可能となり,臓器の発育から見た胎児発育の評価もできるようになってきた.
4.3D power Dopplerによる胎盤血流評価
3D power Dopplerを用い胎盤のvascularityの評価が可能となり,胎児発育に及ぼす胎盤血流の関与を評価する新しい手段となりうる可能性が示されている.
5.4Dエコーによる胎児行動の観察
4Dエコー技術の進歩により,リアルタイムにしかも立体的に胎児の描写が可能となり,胎児行動や双胎間接触の観察が容易になり,新しい胎児行動学が確立されつつある.
6.婦人科領域における3Dエコーの応用
multiplanar法により子宮奇形の診断が容易となり,3D inversion modeにより卵管水腫などの嚢胞性疾患の鑑別診断が可能となってきた.また,3Dエコーにより嚢胞内の立体的な観察が可能となり,3D power Dopplerにより婦人科腫瘍のvascularityが評価できるようになってきた.