Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

パネルディスカッション
パネルディスカッション2
3 D エコーを使いこなす

(S196)

先天性心疾患と3D心エコー

Three dimensional echocardiography for congenital heart disease

安河内 聰

Satoshi YASUKOCHI

長野県立こども病院循環器科

Department of Pediatric cardiology, Nagano Children’s Hospital

キーワード :

【はじめに】
もともと心内構造が異常である先天性心疾患(CHD)においては,立体的な解剖学的診断つまり3次元的構造診断が,血行動態の把握や治療方針の決定,治療効果の判定に非常に重要ですべての基本となる.またこの3次元的構造異常を立体的に修復する外科医にとっても3次元画像情報は重要である. 近年開発された3D/4D心エコー(3DE)はまさにこの3D構造を可視化するもので,CHDの診断と治療に携わるものにとっては有効に利用できればこの上もない診断技術となる.
 CHDにおける3DEの役割を要約すると,①心内形態の3次元解剖学的構造の描出と診断,②心内腔の3次元容量測定や3次元的心機能解析,③心内の3次元的血流動態解析,④カテーテル診断・治療の際のカテーテルガイドとモニタリングおよび効果判定,⑤CHD外科手術のガイドとモニタリングに集約される.
【装置】
現在超音波各社がリアルタイム3DE対応機種を販売しており,その3D画像構築のアルゴリズムも進化して,より短時間で,よりvirtualな表現が可能となってきている.画像の取り込みも,従来の画角が小さなリアルタイム3Dや画角が大きいが4心拍必要なFull volume modeに加え不整脈があっても対応できるよう1心拍でFull volumeの取り込みが可能な機種も今後販売予定である.
【画像取り込み方法】
3DE画像取り込みは,経胸壁法,経食道法,経心外膜法などがある.
【3D画像処理】
取り込んだ3Dボリュームデータは,croppingと呼ばれる方法で観察したい断面からの擬似3D画像として再構築できる.このときに,重要なことは治療目的や治療手段に応じた再構築画像を作成することである.1例実例を示すが,心室中隔欠損を横切る複数の索状構造物が経心外膜法による3DEでよく示されており,この症例では心室中隔欠損(VSD)を閉鎖する時にパッチの当て方をこの3DEを基に決定した.
【3DEの臨床応用】
最近では,心房中隔欠損のカテーテル閉鎖術時のモニターとしてリアルタイム3D経食道心エコーが利用されるようになり,正確な閉鎖栓の留置と留置後の評価に重要な役割を果たすようになっている.
【結語】
3DE/4DEは,多種多様な3次元構造を持つ先天性心疾患の診断,治療において非常に重要な画像診断技術である.