Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム16
産婦人科医が行う他領域超音波

(S187)

産婦人科医が行う他科領域(乳腺)

Breast examination by gynecologist

関根 憲

Ken SEKINE

関根ウィメンズクリニック院長産婦人科

Gynecology, Sekine Womens Clinic

キーワード :

日本女性の乳癌罹患数は,年間4万人以上と増え続け,乳癌死亡数は,2006年での統計では,部位別で第4位であり,全癌死亡の8.5%を占めている.
罹患率,死亡率ともに上昇しており,食生活の変化,晩婚化,出生率の低下などが原因と考えられているが,乳癌では,1次予防がしにくいため,検診による2次予防が重要である.欧米では,乳癌死亡率が減少しているのに,日本では,検診受診率は,10%にも届かないほど低いために,未だ死亡率の低下には至っていない.わが国では,平成19年4月から,がん対策基本法が施行され,癌予防,癌検診による早期発見を目指し,受診率を50%までに上げることを目標にすることを国家戦略として挙げている.
このような背景にあって,女性の健康を担う産婦人科医の役割は大きく,検診を含めた乳腺疾患への関与が期待される.
当院では,マンモグラフィを導入し,希望者には超音波も併用した乳癌検診を行っている.さらに,妊婦健診の中に超音波によるスクリーニングを取り入れ,乳癌検診の重要性を啓蒙すると同時に,自己触診モデルを用いて,妊婦自らが乳癌検診に関心を持ち,分娩後は母乳育児をスムーズに開始できるように,指導を行っている.
産婦人科医として,どこまで乳腺疾患をみているかは,それぞれの立場で異なるとは思うが,当院での実際を紹介させていただいて,症例も取り混ぜながら,今後,産婦人科医が,どのように乳腺疾患と向き合っていけばよいのかについて,述べてみたい.