Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム15
消化器領域における超音波診断基準の検証

(S184)

膵癌超音波診断基準

Diagnostic criteria for pancreatic tumors

廣岡 芳樹1, 伊藤 彰浩2, 後藤 秀実1, 2

Yoshiki HIROOKA1, Akihiro ITOH2, Hidemi GOTO1, 2

1名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部, 2名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学

1Department of Endoscopy, Nagoya University Hospital, 2Department of Gastroenterology, Nagoya University Graduate School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
前回策定の膵癌診断基準(以下,前回基準)の基本的な方針を踏襲し膵疾患全般を取り扱う内容とする.「膵癌取扱い規約」(2002年4月—第5版—日本膵臓学会編)では,膵腫瘍を“上皮性腫瘍”,“非上皮性腫瘍”の2カテゴリーに分類している.この中で,“上皮性腫瘍”には充実性腫瘍と嚢胞性腫瘍が含まれ,超音波画像上は単一に取り扱うことが困難であると考えられる.超音波画像診断という立場からは,“充実性病変”と“嚢胞性病変”に分類することが適当である.また,「膵癌取扱い規約」では取り上げられないが,炎症性膵疾患の診断が臨床上しばしば問題になることを勘案し,本基準に含めることにする.
診断手技に関しては,体外式超音波検査(経腹壁超音波検査),超音波内視鏡検査(管腔内超音波検査)があり,近年,超音波造影剤(Levovist,Sonazoid)による診断も積極的に行われるようになっている.
本診断基準で取扱う疾患および診断手技は以下のごとくとする.
(疾患)
1.充実性病変
a.管状腺癌 tubular adenocarcinoma
b.内分泌腫瘍endocrine tumors
c.Solid-pseudopapillary tumor
d.腫瘤形成性膵炎tumor-producing pancreatitis
2.嚢胞性病変
a.膵管内乳頭腫瘍intraductal papillary mucinous neoplasms: IPMNs
 i)分枝型branch type
 ii)主膵管型main duct type
 iii)混合型combined type
 b.粘液性嚢胞腫瘍mucinous cystic neoplasms:MCNs
 c.漿液性嚢胞腫瘍serous cystic neoplasms:SCNs
 d.仮性嚢胞pseudocyst
(診断手技)
1. 体外式超音波検査transabdominal ultrasonography(US)
2. 超音波内視鏡検査endoscopic ultrasonography(EUS)
3. 膵管内超音波検査intraductal ultrasonography(IDUS)

注1):体外式超音波検査および超音波内視鏡検査にはB-mode画像の特殊型としてティッシュハーモニックイメージング法(THI)があり,ここでのB-mode画像は従来までのB-mode画像とTHI画像を合わせた内容とする.
注2):体外式超音波検査および超音波内視鏡検査では,超音波造影剤を用いた造影超音波検査が行われている.膵臓疾患の観察に使用可能な超音波造影剤はLevovist,Sonazoidであり,カラードプラ断層法・パワードプラ断層法やハーモニックイメージング法などと組み合わせて用いられる.これらを用いることで得られる疾患診断に関する有用性にも言及する.

付記:上記内容は診断基準策定において小委員会でコンセンサスを得たもので(2008年12月),具体的な内容に関しては現在検討中である.

廣岡芳樹(小委員長),伊藤彰浩(幹事),糸井隆夫,小山内学,北野雅之,杉本博行,高倉玲奈,橋本千樹,増澤信義,三好広尚,中尾昭公(アドバイザー),以上,敬称略.