Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム14
各領域におけるStrain Imaging の臨床応用とその開発

(S180)

甲状腺領域におけるStrain Imagingの臨床応用

Clinical application of strain imaging for the thyroid gland

福成 信博

Nobuhiro FUKUNARI

昭和大学横浜市北部病院外科

Department of Surgery, Showa University, School of Medicine, Yokohama Northern Hospital

キーワード :

甲状腺疾患における画像診断は軟Xpに始まり,超音波,CT,MRI,核医学検査と様々なModalityがその特徴に応じた役割を果たしている.体表臓器であり,しかも触診が容易に可能な甲状腺疾患においては,以前よりStrumaの有無のみならず,その硬さが臨床的な判断の1つとなっていた.腫瘍性疾患の良悪性の判定に関しても組織の硬さは悪性を示唆する大きな指標として現在も認識されている.個人的な経験に基づく触診所見ではなく,客観的な評価として組織弾性を表すStrain imagingに大きな期待が寄せられている.
現在我々はManual compressionによるReal-time Tissue Elastographyをもちいて甲状腺疾患への臨床応用をおこなっており,有用な結果が得られており,その成果をを自検例を中心に報告する.現在着目されているものは,以下の通りである.
1)甲状腺腫瘍性病変に対する良性・悪性の鑑別診断:
もっとも頻度の高い乳頭癌においては従来のB-modeにて高い診断率が得られており,Strain imagingが更なる診断の向上に寄与するかどうか,また教育的な役割やスクリーニングにおいての有用性も期待されている.鑑別診断困難な濾胞癌においては腫瘍内部の組織弾性の差から臨床上極めて有用な所見が得られており,CD法と合わせStrain imagingは現時点で最善の診断法と考えられる.
2)甲状腺びまん性疾患:
バセドウ病,橋本病における自己抗体,甲状腺機能とその組織弾性Imagingの関連が着目されている.
3)頚部リンパ節における鑑別診断:
炎症性,単純性リンパ節頚部腫大は臨床的に遭遇する機会が多く,悪性,転移性LNとの鑑別が重要であり,スクリーニングおよび精査としてStrain imagingの応用が始まっている.
これらの臨床応用における具体例を提示し,今後の将来的な展望および現時点における困難な問題,Pitfallに関しても報告する.