Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム13
組織弾性イメージング技術の新展開

(S175)

Real-time Tissue Elastographyの現状と展望

Current status and future prospects for Real-time Tissue Elastography

松村 剛

Takeshi MATSUMURA

㈱日立メディコUSシステム本部

Ultrasound Systems Division, Hitachi Medical Corporation

キーワード :

Real-time Tissue Elastography(以下,エラストグラフィ)は,2003年に商用化されて以降,乳腺,甲状腺,前立腺,腹部,整形など,様々な部位へ急速に応用され,臨床有用性に関する前向きな報告を多く受けている.
同時に,エラストグラフィの客観性や定量性の面に関する臨床上の課題も明確になってきており,例えば乳腺領域においては,手技(初期圧力)に依存した画質の変化やStrain Ratioの再現性などの点を指摘されることがある.これらの課題の多くは生体組織がもつ弾性特性そのものを知り得ない限り明確な議論が困難であるため,我々は,術後の摘出された乳腺組織の弾性特性を直接に計測する試みを進めている.そこで得られた知見のひとつとして,乳腺組織の弾性には顕著な非線形性が計測され(図1),硬さ(ヤング率)は応力に依存して変化するという点が明らかとなった.これはつまり,次のステージとしてエラストグラフィの高精度化,及び,定量化技術の確立を目指すとき,弾性を示す数値を得るだけでは不十分であり,対象に付与されている応力(初期圧力)に関する情報を併せて提示することが重要であるということを示唆する.
また一方,前立腺領域においても多くの臨床経験を積んできているが,経直腸探触子を用いて安定した映像を描出するには高度な手技が求められ,エラストグラフィの簡便性の側面において乳腺や甲状腺領域とは異なる別の課題がある.
上記のようにエラストグラフィを施行する際の条件は部位によって大きく異なる.今回,それぞれの部位において把握されているエラストグラフィの課題を取り上げ,今後の展望として技術サイドからのアプローチを報告したいと考えている.
※Real-time Tissue Elastographyは㈱日立メディコの登録商標です.