Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム12
超音波でしか診断できなかった消化器疾患症例

(S170)

Sonazoid造影超音波検査が診断に有用であった膵内副脾の一例

Usefulness of Sonazoid-enhanced sonography in the diagnosis of intrapancreatic accessory spleen

今井 康陽1, 小来田 幸世1, 関 康2, 宇戸 朋之2, 岩崎 哲也1, 牧野 祐紀1, 澤井 良之1, 福田 和人1, 高村 学2

Yasuharu IMAI1, Sachiyo KOGITA1, Yasushi SEKI2, Tomoyuki UDO2, Tetsuya IWASAKI1, Yuki MAKINO1, Yoshiyuki SAWAI1, Kazuto FUKUDA1, Manabu TAKAMURA2

1市立池田病院消化器科, 2市立池田病院放射線科

1Department of Gastroenterology, Ikeda Municipal Hospital, 2Department of Radiology, Ikeda Municipal Hospital

キーワード :

症例は59歳男性.1993年に糖尿病と診断され,2003年にインスリン導入されたがその後放置し,今回糖尿病の精査加療のため入院となった.入院後,膵腫瘍性病変のスクリーニング目的で施行した腹部超音波検査にて膵尾末端部に境界明瞭で辺縁整な13.2×5.8mmの低エコー腫瘤を認めた.膵尾部の腫瘍性病変を疑い,造影CTおよびMRIを施行したところ,膵尾部に境界明瞭,均一に濃染する腫瘤結節を認め,膵島腫瘍が疑われた.次にSPIO造影MRIを施行したところ,SPIOの取り込みが若干みられたため,膵島腫瘍よりは副脾が疑われた.しかし,肝実質に比べるとSPIOの取り込みは軽度にとどまった.また,スズコロイドシンチグラフィを施行したが,肝臓と脾臓以外に副脾を疑わせるようなuptakeは認められなかった.次にLogic7を用いてsonazoid造影超音波検査を施行した.Sonazoid静注後13sec頃から 膵尾部結節および脾臓実質共に濃染を認めた.濃染は約40secまで続き,wash out も見られず膵尾部結節および脾実質はほぼ同等の濃染となった.膵尾部結節のvascular phaseの time intensity curve(TIC)を検討したところ,脾臓と同じTICを示した.またpost vascular phaseでも膵尾部腫瘤は脾臓とエコーレベルの差は認められず,さらに30 min delay時のTrue Agent Ditection(TAD)にても明瞭な信号を認めたため,網内系細胞の存在が示唆され,膵内副脾と診断した.また,その後の経過観察にて,増大傾向は認められていない.今回,SPIO造影MRIが明確に集積を判定できなかったのは,スライス厚によるパーシャルボリュームエフェクトおよびケミカルシフトアーチファクトの混入にて信号値の低下が不明瞭となったためと考えられた.またスズコロイドシンチグラフィが副脾を描出し得なかったのは,分解能が劣っていたためと考えられる.両者と比較してSonazoid造影超音波検査は分解能が高く,特にTADは細網内皮系細胞の存在を示唆する有力な手法と考えられ,今後膵内副脾の診断に極めて有用なmodalityとなると思われた.以上,sonazoid造影超音波検査が診断に有用であった膵内副脾の一例を経験したので報告する.