Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム11
肝腫瘍診断における造影超音波の位置づけ

(S167)

Defect Re-perfusion Imagingの有用性とRFA治療支援

The usefulness of Defect Re-perfusion Imaging and RFA treatment support

畑中 絹世, 南 康範, 工藤 正俊

Kinuyo HATANAKA, Yasunori MINAMI, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University School of Medicine

キーワード :

【背景】
Sonazoidを再投与することでKupffer ImageにReal-timeな血流イメージを重ねて表示する手法(Defect Re-perfusion Imaging)を考案した.この技術は肝腫瘍の治療対象領域を明瞭にするため,RFAの治療支援としても期待されている.
【目的】
B-modeで描出不明瞭な肝悪性腫瘍についてDefect Re-perfusion Imagingの臨床的有用性を検討した.
【対象と方法】
2007年1月〜2008年5月に造影CT・MRIにおいて肝悪性腫瘍を指摘された847結節に対して造影超音波検査を行い,そのうち,B-modeで描出不明瞭であった 59症例 77結節 (9.1%) を対象とした.超音波造影剤はSonazoid(第一三共)を0.01mL/kgにて使用した.使用装置はGE社製LOGIQ7,撮像法はCPI(coded phase inversion) mode,MI値は0.20前後に設定した.vascular phaseにて多血性腫瘍を指摘できなかった場合,Defect Re-perfusion Imagingの手技を行った.Sonazoidの静脈注射後10分以降のKupffer phaseでdefect像の有無を観察し,defectを呈した部分に注目してSonazoidの追加投与を行い,結節内血流が流入するか否かを観察した.
【結果】
全結節においてpost-vascular phaseにてdefect像を検出した.また,re-injectionにて全結節において結節内血流を検出し得た.Re-injectionを行った全結節について肝細胞癌は均一な濃染を呈し,転移性肝癌の多くはリング様濃染を呈した.B-mode,造影CT・MRIで指摘されなかった悪性腫瘍5結節をPost-vascular phaseのscanによって指摘し,Defect Re-perfusion Imagingにて診断し得た.また,29症例42結節に対しLOGIQ7を用い,ソナゾイド造影下穿刺にてRFA治療を行った.平均session数は1.0±0.2 session, 平均穿刺回数は1.5±0.9回,平均焼灼回数は1.8±1.2回であった.平均観察期間81日で,肝内転移は1結節において認めたが,局所再発は認められなかった.
【結論と考察】
B-modeで描出不明瞭であった肝悪性腫瘍においてDefect Re-perfusion Imagingが有用で,また,造影超音波検査下にてRFA治療を施行することが可能であった.