Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム11
肝腫瘍診断における造影超音波の位置づけ

(S164)

肝細胞癌診断におけるSonazoidを用いた造影超音波検査の位置付け

Usefulness of Sonazoid-enhanced sonography in the diagnosis of hepatocellular carcinoma

今井 康陽1, 小来田 幸世1, 関 康2, 宇戸 朋之2, 岩崎 哲也1, 澤井 良之1, 福田 和人1, 黒川 正典1, 高村 学2

Yasuharu IMAI1, Sachiyo KOGITA1, Yasushi SEKI2, Tomoyuki UTO2, Tetsuya IWASAKI1, Yoshiyuki SAWAI1, Kazuto FUKUDA1, Masanori KUROKAWA1, Manabu TAKAMURA2

1市立池田病院消化器科, 2市立池田病院放射線科

1Department of Gastroenterology, Ikeda Municipal Hospital, 2Department of Radiology, Ikeda Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
肝腫瘍診断における超音波造影剤Sonazoidの有用性が報告されている.今回,肝細胞癌(HCC)におけるSonazoidを用いた造影超音波(US)検査とdynamic MDCT,SPIO-MRI,EOB-MRIによる検出率を比較し,HCC診断における造影超音波検査の位置づけを検討したので報告する.
【方法】
1)CTHA/CTAP,follow-up CTおよび一部は組織学的に診断した多血性HCC103結節において,Sonazoid造影US Vascular phase,dynamic MDCT動脈相の検出率を比較した.2)乏血性HCC10結節(組織学的に診断)を含むHCC65結節において,Sonazoid造影US Kupffer phaseと,SPIO造影MRIの検出率を比較した.3)乏血性HCC15結節(組織学的に診断)を含むHCC50結節においてSonazoid造影USとEOB-MRIの検出率を比較した.超音波検査はGE社製Logiq7,TOSHIBA社製Aplio XG を使用し,Kupffer phaseはSonazoid 0.0075ml/Kgをbolus静注後,10分以降で評価した.EOB-MRIは造影前,dynamic study撮像後,肝細胞相は20〜30分後に撮像した.
【成績】
1)CTHA/CTAPにて診断した多血性HCC癌103結節中,早期濃染を認めたのは,MDCTで90結節(87%),造影超音波Vascular phaseで91結節(88%)であった.腫瘍径別の早期濃染の検討では,10mm未満でMDCT67%(12/18結節),造影超音波Vascular phaseで61%(11/18)であった.10mm以上20mm未満55結節の早期濃染は,MDCT 87%,造影超音波Vascular phase 93%であり,20mm以上50mm未満33結節では,MDCT 100%,造影超音波Vascular phase 97%であった.2)Sonazoid造影US,SPIO-MRI両者を施行した乏血性10結節を含むHCC65結節中,造影US Kupffer phaseで55結節(85%)にて欠損像を示し,SPIO造影MRIでは53結節(82%)に取り込みを認めず,造影US Kupffer phaseの方がより検出率が高い傾向にあった.3)Sonazoid造影USとEOB-MRIの比較では,多血性HCC35結節中,早期濃染を認めたのは,造影US Vascular phaseで30結節(86%) ,EOB-MRI動脈相で29結節(83%)であった.造影US Kupffer phaseとEOB-MRI肝細胞造影相の比較では,多血性肝HCC35結節のうち,造影US Kupffer phaseにて29結節(83%)でdefectを示した.EOB-MRI肝細胞造影相では多血性HCC35結節中32結節(91%)に低信号(EOBの取り込みの低下)を認め,1結節は極めて高信号を示した.一方,乏血性HCC 15結節では,造影US Kupffer phaseでdefectとして検出しえたのは3結節(20%)であったのに対し,EOB-MRI肝細胞造影相ではEOBの取り込み低下を示したのは13結節(87%)と高い検出率を示した.
【結論】
Sonazoidを用いた造影超音波検査は,多血性HCCに診断に優れ,Sonazoid造影US Kupffer phase,SPIO-MRI,EOB-MRI肝細胞造影相の比較では,EOB-MRIが乏血性HCCの検出に最も優れていると考えられた.