Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム6
乳房超音波検査における腫瘤像非形成性疾患

(S143)

多発小胞像を呈する良性と悪性病変の比較

Differential Diagnosis of Breast Clustered Microcysts

安田 秀光, 橋本 政典

Hidemitsu YASUDA, Masanori HASHIMOTO

国立国際医療センター外科

Department of Surgery, International Medical Center of Japan

キーワード :

【はじめに】
JABTSでは腫瘤像非形成性病変の一型に多発小胞像がある.segmentalに配列した胞の集簇像の多くは乳腺症に伴う胞であるが,稀に低乳頭型の非浸潤性乳管癌であることがある.その鑑別は必ずしも容易ではない.我々は,多発小胞像を呈し組織学的に確認された,7例の乳癌と10例の良性疾患の臨床病理学的な特徴について報告する.
【対象】
5例の非浸潤性乳管癌,2例の浸潤癌と10例の乳腺良性疾患
【結果】
良性疾患:10例ともに乳腺症に伴う嚢胞形成であった.針生検5例,穿刺吸引細胞診3例,2年以上の経過観察2例.
 悪性疾患:腫瘤触知6例,マンモグラフィで淡く不明瞭〜微小円形の石灰化が乳頭に向かって線状に配列を認めたのは3例,超音波像では,5例が乳首から小葉に沿って放射状に,数mmの小嚢胞が線状に配列していた.1例は隔壁様構造をもち,1例は単発の胞で壁在結節を認めた. エコーガイド下の穿刺吸引細胞診や針生検で胞液とともに悪性細胞が検出された.手術は部分切除が6例で,1例乳房切除.再手術例はなかった.エコーガイド下の術前のマーキングは,切除範囲の決定に有用であった
【考察】
乳腺症に伴う胞と比較して,癌では胞壁の境界がやや不明瞭で,複数の胞が線状に配列する傾向にあった.胞壁の輝度がやや高く,厚い事と,周囲でのバスキュラリティの増加などが乳腺症との鑑別点であった.癌では穿刺吸引細胞診で悪性が疑われた.
【結語】
多発小嚢胞像を呈した病変の鑑別診断に穿刺吸引細胞診が有用であった.