Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム5
超音波併用乳房検診の有用性,現状と課題

(S140)

超音波を用いた乳癌検診:適応年齢と間隔について

Breast cancer screening using ultrasonography: Evaluation of targeted age groups and screening intervals

森島 勇1, 2, 植野 映2, 東野 英利子2, 太田 代紀子2, 原 尚人2, 坂東 裕子2, 平野 稔2, 福田 禎治2, 渡辺 宏2

Isamu MORISHIMA1, 2, Ei UENO2, Eriko TOHNO2, Noriko OHTASHIRO2, Hisato HARA2, Hiroko BANDO2, Minoru HIRANO2, Teiji FUKUDA2, Hiroshi WATANABE2

1筑波メディカルセンター病院乳腺科, 2茨城県総合検診協会乳がん検診研究委員会(乳房超音波検査)

1Breast Surgery, Tsukuba Medical Center Hospital, 2Committee on Breast Cancer Screening (Breast Ultrasound), Ibaraki Health Service Association

キーワード :

マンモグラフィ検診は罹患率の高い40歳代の高濃度乳房では検出感度が低く限界があることから,超音波の有効性を検証するためのJ-STARTが始まっている.今回は,茨城県総合健診協会(36市町村対象)が施行した平成19年度実施分の検診データからレトロスペクティブに,適応年齢と受診間隔を検討した.全体のデータは,超音波検診受診者24345,要精検896(3.7%),癌発見45(0.18%),早期癌割合78%,陽性反応的中度5.0%であった.
年齢階級別にマンモグラフィ検診と比較すると,超音波/マンモグラフィは,発見率は全体で0.18/0.22,-39歳で0.05/0,40-44歳で0.17/0.08,45-49歳で0.36/0.22,50-54歳で0.24/0.18,55-59歳で0.23/0.18,60-歳で0.25/0.30であった.全体ではマンモグラフィが高値だが,-39歳でのマンモグラフィ発見がなく,40-59歳においては超音波が高値であった.要精検率,早期癌割合に大きな偏りがないことを考慮すると,この年齢層に超音波の効果はあると推察された.また,超音波の併用という観点から,超音波+マンモグラフィ±視触診の検診方式において,各検査の寄与度を検討した.受診者6901中,発見癌は25(0.36%)で,年齢階級別の発見癌数/超音波寄与度/マンモグラフィ寄与度の順に,40-44歳では6/83.3/33.3,45-49歳では11/90.9/36.4,50-54歳では5/60/80,55-59歳では3/66.7/100となっており,40-49歳での超音波寄与度が優れていた.浸潤癌の割合は,超音波では17/20,マンモグラフィでは8/13と,超音波は浸潤癌の検出に優れていた.これらの結果から,年齢は(30歳-)40-49歳(-54歳)が妥当と考えられた.
受診歴別では,1年前・毎年群からの発見癌が18/25と40%を占めており,特に1年前群での早期10例(非浸潤1例)・進行4例との内訳からも,この群を拾い上げる意義は高く,1年間隔が妥当と考えられた.
今回の検討では,浸潤癌発見の観点で,40-49歳,1年毎の受診が推奨される結果であった.対策型検診の整備においては,罹患率,感度,特異度,発見率,当該がん死亡率,費用効果比などを総合的に勘案した上で決定されるものと考える.