山口 敬子, 西本 佳那, 宮田 綾子, 中田 恵美子, 岡山 幸成, 中村 文彦, 石田 英和, 矢田 匡, 仁科 健

Keiko YAMAGUCHI, Kana NISHIMOTO, Ayako MIYATA, Emiko NAKATA, Yukinari OKAYAMA, Fumihiko NAKAMURA, Hidekazu ISHIDA, Masashi YATA, Takeshi NISHINA

¹奈良県総合医療センター中央臨床検査部, ²奈良県総合医療センター心臓血管外科, ³奈良県総合医療センター病理部

¹Depertment of Central Clnical Laboratory, Nara Prefecture General Medical Center, ²Cardiovascular Surgery, Nara Prefecture General Medical Center, ³Department of Pathological, Nara Prefecture General Medical Center

キーワード :

膝窩動脈外膜囊腫は，膝窩動脈狭窄による間欠性跛行を呈する稀な疾患である．間欠性跛行の主訴より， Ankle-brachial pressure index（ABI）にて閉塞性動脈硬化症を疑った．下肢動脈超音波検査およびCT，MRI検査で膝窩動脈外膜嚢腫の術前診断に至った一例を経験したので文献的考察を加えて報告する．
【症例】
60歳代 男性．
右下腿の間欠性跛行を自覚し来院した．来院時ABIは右 0.39，左 1.20，で右閉塞性動脈硬化症を疑い，下肢動脈超音波検査を施行した．右膝窩動脈を圧迫する嚢胞性腫瘤の狭窄像を呈するが，足背動脈に血流表示があり閉塞性動脈硬化症を示唆する所見に乏しかった．，造影 CT では，右膝窩動脈の圧迫狭窄を認め，嚢胞性腫瘤性病変（膝窩動脈外膜囊腫の疑い）と診断した．術前施行したABIの結果は来院時とは異なり正常範囲であった．膝窩動脈切除，自家静脈置換術を施行した．術後，間欠性跛行はなく経過良好である．